2007-04-30

2006-04-21 (金) Aコース(1回目)25日目 2度目の骨髄穿刺(マルク)

 今朝は採血(3本)。頭痛(headache)少々、ロキソニン(Loxonin)を飲む。指先しびれ少々。のどの痛みは殆んど無し。首肩の凝り少々。昨日に続いて今朝もシャワーを予約する。しばらくずっとホットタオル体清拭のみだったので、一回位のシャワーではなかなか垢を落としきれない。

 10時40分から11時5分、マルク(Mark:骨髄穿刺;bone marrow puncture)が女医のKN先生によって行われた。入院時に次いで2度目で、前回は大学院へ進学されたTS先生であった。麻酔注射も痛いが、やはり、麻酔(anesthesia)で効き切らないなんとも不快な鈍い痛みがある。夕方に大まかな検査結果が出るそうだ。

 恒例の抗生剤(ペントシリンPentcillin、タゾシンTazocin)の点滴は、10時・15時・21時に、抗菌剤のタゴシッド(Tagocid)200mgの点滴はマルクの後の午前11時15分にあった。

 一昨日で増白血球剤のノイトロジン(Neutrogin;G-CSF)注射を終了したが、血液検査の結果、白血球(WBC;white blood cell)は僅かながら1,100と微妙に増え、外泊許可がKB先生から出た。好中球(Neutrophil)が1,012個になるので感染(infection)の恐れがある500個より多い1,000個台になったのでぎりぎり許可が出たらしい。期待されていた値、3,000~5,000には全然達していないのだが、それより外泊許可(exeat;overnight)が出た事の方が今は嬉しい。

 血小板(PLT:platelet)は37,000から51,000へと自力で増加し始めており、先生の期待に応えたみたいである。血球を作っているかどうかの目安になると教えて貰った網赤血球数(reticulocyte)は、標準値にはやや達していないが6.7に上昇しており、血液が作られ始めている感じで良いという。CRPの値が2.8とまだ高めなのだが、今日で全ての抗生剤・抗菌剤の点滴は終了するとの事。

 TNB先生は外泊許可に対して微妙な顔をされた。自宅は病院から近い事を告げると、熱が出たらすぐ病院へ戻る様に、人込みを避ける様に、出来るだけ加熱食を採る様に等と色々注意事項を言われた。お酒はと一応聞いてみると、「えっ」と少し詰まられてから、ほどほどならばと許可を出してくれた。そして、今日か明日のどちらを外泊にしたいかと聞かれた。この口調から1泊しか無理らしい事を知り、今からなら外泊の自由時間が少なくなし、マルクで心身共に疲れている事もあるので、明日の土曜日に外泊の願いをする。来週火曜から次の治療開始ならば、出来れば2泊3日の外泊を許可して欲しい所なのだが。。。

 骨髄穿刺の結果も教えてくれる。白血病細胞(leukemia cell)が1~2個見られたそうだ。入院時は100個中90~94個あったのが、1~2個、即ち1~2%になった事になる。私はやった、寛解(remission)だと思ったのだが、先生の反応は何故かハッキリしなかった。TNB先生は、一応5%以下なので、寛解状態といえるが、入院時に白血病細胞が非常に多かったのが原因で叩ききれていない感じだという。Bコースでさらに強力に叩くので頑張りましょうと言われる。

 紹介されて購入した本では、5%以下なら寛解とあったので、晴れて第一段階クリアの状態になったと思ったのに、先生方(この病院で)はそれよりもっと厳しい基準で白血病細胞が検出されない位になくなるのを目指していると聞かされた。それによると、定義では5%以下で寛解とされているが、この病院では0.01%レベルで精密に白血病細胞の有無を検出できる検査(フローサイトメトリー)があるので、先ずはそのレベルでのゼロを目指しているという。1%レベルとは細胞100個中1個、10,000個なら100個腫瘍細胞が見つかるレベルだが、先生達は0.01%レベル未満、即ち10,000個中1個未満になったら寛解と考え、治療で更にそれ以上の撲滅を目指しているらしい。ちなみに外注のRT-PCR法なら10万個に1個レベルで検出できるが、結果が出るのに時間がかかるので、今日病院で出せる検査結果を教えてくれたのだった。

 夕食前後、しばらく鼻血(epistaxis)が止まらなかった。外泊許可が出て少々興奮したせいか、職場から届いた小包の、仲間からの見舞いの品に添えられた手紙に少々涙して鼻をかんだせいか。いずれにせよ、2~3日前から鼻をかむと血が少々ついてくる。夜は明日の外泊の用意をする。母からの電話で明日の外泊許可が出た話を報告する。喜んでくれる。入院後初の外出で、心配をかけていた母にやっと会える。

【血液検査結果】4/21
WBC(白血球数)1,100 [/μl]、HGB(ヘモグロビン) 7.3 [g/dl]、PLT(血小板数)51,000 [/μl]、網赤血球数(reticulocyte) 6.7[プロミレン]、好中球(Neutrophil) 92.0%、リンパ球 5.0%、単球 (Monocyte) 3.0%
GPT 34[IU/l]、ALP 445[IU/l]、γ-GTP 250 [IU/l]、尿酸(UA) 2.2[mg/dl]、BUN 6[mg/dl]、CK 19[IU/l]、CRP(炎症反応) 2.8[mg/dl]、好中球数1,012[個]

2007-04-29

2006-04-20 (木) Aコース(1回目)24日目 久々のシャワー

 昨日の血液検査で白血球(WBC;white blood cell)が1,000になったので、やっと「シャワー可」の許しが出た。そこで早速ナースに予約を取って貰った。この病院では感染を恐れて湯船に浸かる事はNGだが、上から下へ水が流れ落ちる形のシャワーのみ許可されている。また私の様な血液腫瘍科の患者と介助が必要な患者は浴室掃除後の午前中に一人ずつ順番に風呂場を使用出来る事になっている。1人30分で使用出来るので、頭髪が抜けてしまって惨めな姿でも他人の眼を気にせずに使えるのが有り難い。やはり鏡で見る自分の姿はいくら治療の副作用と言われ様が髪は必ず生えてくると言われ様が、認めたくないものがある。

 予約時間ちょっと前に、ナースに胸のCVカテーテル(central vein catheter:中心静脈カテーテル)部の防水をして貰う。点滴でお世話になっているCVカテーテル先端の管の部分を胸の挿入部辺りでクルッとひとまとめにして、その上を水が浸入しない様に大きな透明な防水シールで覆いながら胸に直接貼っていくのである。右胸の鎖骨下 (subclavian)のCVカテーテル挿入部にこんもりと小さな山が出来る形になる。ナースは「男性の患者さんは胸が平面的なのでシールが貼り易いのですが、女性の患者さんはどうしてもバストがあって立体的なので、隙間無くシールを貼るのが難しいですね」という。

 そして昼頃、ようやく久々のシャワーを浴びる事が出来た。情けない量になったとはいえ髪が残っているので、石鹸でついでに洗髪もする。温タオルで身体を拭くのと違って、シャワーはとても気持ちが良いし、楽だ。気分よく戻ったら昼食が置いてあった。今日は麺類の日であった。のびてぬるくなってしまったうどんの昼食を採る事となる。あちゃ。

 しかし、余りに気持ち良かったので、ちょっと浮かれて、砕けた遊び口調でメール文をサラサラッと書く。以下にその文転載。
『今日はやっとシャワーを浴びても良い許可が出たんで、久々にシャワーを浴びたんだぜ! いつもはどうしてるって?! 温タオルだい!! それで喜び勇んで脱衣所へ行き、早く浴びたいと焦っていたもんで、頭にかぶりもんしてるの、すっかり忘れて風呂場へ入り、鏡を見て慌てて脱衣所へ置きに行ったんやけど、その後が悪い。。。シャワーを顔から浴び様としたらメガネが邪魔をして・・・って言うか、メガネかけていたのね。ずぶ濡れになったメガネを台の上へ置いて気を取り直してシャワーを顔に浴び、両手でこすろうとしたら、なんとマスクをしていたんだぜ! 自分でも笑ってしまったぜ♪ ほんで、久々ちょっと人間に戻れたって感じになったね。胸にCVカテーテルなるものをつけていると、こういう時、非常に不便を覚えちゃうねぇ。ま、しゃーないか。』

2007-04-28

2006-04-20 (木) Aコース(1回目)24日目 

 指先のしびれ、いつも通り。頭痛(headache)は起きているとすぐに起こり始めたので、ロキソニン(Loxonin)を飲むが、しばらく頭痛が続いたので仮眠しているとおさまってきた。のどの痛みは殆んど無し。

 恒例の抗生剤(ペントシリンPentcillin、タゾシンTazocin)の点滴は、9時半・15時・21時にある。 抗菌剤のタゴシッド(Tagocid)200mgの点滴は午前10時半にある。ノイトロジン(Neutrogin;G-CSF)は昨日で終了している。

 バラバラに回診に来られる私の担当医に次々に質問してみた。

 成人急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia;ALL)にはL1、L2、L3とあるらしいが、自分はどれかを聞く。ある意味で分類しきれなかったのでどれでもないとKN先生から回答を得た。

 L1、L2、L3はFAB(※)が決めた分類で、今は余り意味がないとKB先生。この分類でいくとL3はL1・L2と全く性質の違うものなので別のものとして区別するが、L1とL2の区別には余り意味がないらしい。私の場合はL2にあたるだろう、との事。

 ALLの中でPh+(フィラデルフィア染色体陽性の略:Philadelphia chromosome positive)という不良因子があるが、私の場合はどうだったのかをTNB先生に聞いてみると陰性(negative)だったとの事。実は私の場合はPh染色体陽性ではないのかと疑っていた(心配していた)という。また、今日の頭痛も昨日、一昨日同様午前にロキソニンを一服飲んでしばらく寝て休んだら、午後は何とかロキソニンを飲まなくても我慢できた。この話をしたら、やはり、髄注(intrathecal injection、ルンバール)の影響なのだろう、その可能性が高いとTNB先生。「次回の髄注時は抜く液を少な目に、入れる液を多めにして調整してみましょう」との事。その話を聞いて、それなら更に髄注に使用する針も細いのにして下さい(以前この頭痛についてKB先生に聞いた話から)とお願いしたら、針の太さは余り関係ないのでは、といわれた。しかし、この難儀な頭痛はもうご免したいので、髄注前にもう一度改めて細い針でとお願いしてみようと思う。

※ FABとはFrench-American-Britishの頭文字を取ったもので、フランス・アメリカ・イギリスの専門家により提唱された急性白血病の分類の事。L1は芽球が小型で均一、小児に多い、L2は芽球が大型で不均一性、成人に多い、L3は芽球が大型で細胞質に空砲を有する細胞が多く、バーキッド型と言う。治療の見通しや治療法の選択に役立つ分類法だと先生から紹介された本(※※)には書いてある。

※※「増補改訂版-2」全国協議会ニュース臨時増刊号『白血病と言われたら――発症間もない患者さんとご家族のために――』発行:特定非営利活動法人 全国骨髄バンク推進連絡協議会、定価500円  http://www.marrow.or.jp/

2007-04-27

2006-04-19 (水) Aコース(1回目)23日目 

 なんだかよく眠れたのかどうかさっぱり分からない。一晩中なんとなく騒がしく感じて眠たい。久々に大部屋になったせいだろう。

 指先のしびれ、いつも通り。9時頃から頭痛(headache)が始まり、ロキソニン(Loxonin)を飲む。のどの痛み殆んど無し。首・肩凝りは引き続き今日も痛い。TGナース、首に温タオルをあてた後マッサージをしてシップを貼ってくれたおかげで随分楽になる。ここ2~3日、鼻をかむと血がついてくる。そんなに強く鼻をかんでいるつもりはないのだが。。。また今日の昼食時、歯の隙間に魚の骨か何かが詰まり、爪楊枝で取る時傷付けたのか、しばらく歯ぐきから血が止まらなかった(5~10分位)。ちょっと血の止まり方が悪いか?

 採血(2本)あり。抗生剤(ペントシリンPentcillin、タゾシンTazocin)の点滴は、9時・15時半・21時半にある。 抗菌剤のタゴシッド(Tagocid)200mgの点滴は午前10時半にある。

 水曜恒例の教授回診(今日は教授代理のIK先生)では、先生がとても嬉しそうに「お姉さんとHLA(骨髄の型:Human Leucocyte Antigen)が一致して良かったですね~~」と話されて去っていかれた。これで病気も治ったと言わんばかりの明るさであった。いよいよ骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)は私の治療には避けては通れないもの、絶対必要なものと考えなければならない様だ。他の選択肢は私の場合、お勧め出来ない、という事か?

 TNB先生から金曜日にマルク(Mark:骨髄穿刺;bone marrow puncture)、来週からBコースを始めると告げられる。また、白血球(WBC;white blood cell)がやや増えた程度だが、白血球を増やすノイトロジン(Neutrogin;G-CSF)は今日迄とするとの事で、15時半に最後の注射があった。内服薬のザイロリック錠(Zyloric)も本日迄で(中断ではなく)終了だそうだ。

 KB先生より今日の血液検査の結果を教えて貰う。白血球数は1,000で思ったより増えず、血小板(PLT:platelet)の上がり方も今一つらしい。「金曜の結果を見なければ分かりませんが、週末の外泊は微妙~~という所ですね」といわれてしまう。白血球は本来どれ位の増加を期待していたかを聞くと、本来ならば3,000~5,000なのだそうだ。今日で白血球を増やすノイトロジンの注射も終わるので、金曜日は果たしてこの1,000という数字を維持出来るのか、このまま増えてくれるのか、といった状況らしい。金曜の結果で増えていたら多い方が感染(infection)の危険性が減るので、外泊許可(exeat;overnight)も出る可能性はあるらしい。治療方針を聞くと、ノイトロジン注射を止めると白血球の増加は明らかに減るだろうし、下手をすると今の私の状態ならこの値を維持するのが精一杯かもしれなく、その場合はある程度で見切りを付けてBコースに突入する事になるという。つまり悪い白血病細胞(leukemia cell)が増えだす前に次の治療に入るという。その場合、外泊はもしかしたら微妙、と言った感じなのだそうだ。はぁ~。

 ネットで調べてみた中で、成人の急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia;ALL)の場合、初発での完全寛解率は80%で、治癒率は30~50%という記事を見つけた。成人ALL長期生存率は30%で、成人ALLの30%はPh+(フィラデルフィア染色体陽性の略:Philadelphia chromosome positive)で予後不良だとか。しかし、私が受けているのと同じ治療法での結果というものが見当たらず、この記事をどこまで参考にすれば良いか、難しい所である。

 入院時に言われた事だが、私が受けているHyper CVAD療法はまだ新しい治療法で、日本での治療成績は今やっと5年に達し始めたあたりらしい(ここの病院では、入院時には5年ではなく、4年無病生存率しか出ていなかった)。ネットのHPやブログで色んな情報を手に入れる事が出来るが、自分の本当に欲しい情報というものはなかなか見つからない。手に入れた情報も、どれを取ってどれを捨てるか、最後の判断は自分。専門家でないので、読み砕くのも大変だが、悲観的には読み取らず、医学は日々進歩しているので、最新ではないが、最近のデータとして客観的に読む様にしている。

【血液検査結果】4/19
WBC(白血球数)1,000 [/μl]、HGB(ヘモグロビン) 7.6 [g/dl]、PLT(血小板数)37,000 [/μl]、網赤血球数(reticulocyte) 4.1[プロミレン]、好中球(Neutrophil) 86.0%、リンパ球 10.0%、
GPT 33[IU/l]、ALP 415[IU/l]、γ-GTP 253 [IU/l]、尿酸(UA) 2.0[mg/dl]、BUN 6[mg/dl]、クレアチニンキナーゼ(CK) 19[IU/l]、CRP(炎症反応) 4.1[mg/dl]、好中球数860[個]

2007-04-26

2006-04-18 (火) 病院食について

 私は入院するまでは余りご飯(めし)を食べない方で、食べるとしてもかやくご飯とか茶粥、汁かけご飯みたいな形が多かった。ちなみに入院前はよくアルコール(alcohol)を飲んでいたので、その分ご飯を食べなくなっていた。現在ごはんをとにかく全部食べる様にしてから体重が安定してきたので、これを持続したいが、ついついご飯(めし)が最後まで残ってしまう傾向がある(それでも頑張って食べているが)。

 また、入院前は一日に一食は麺類(うどん・ラーメン等)を食べていた。大の麺好きである。しかしこの病院では木曜日の昼だけがどうやら麺類の日らしく、廊下に貼り出されているメニューを見ていても、スパゲッティ、焼きそば、うどん等である。1週間に1食だけと余りに麺類が少なく、麺を食べられない禁断症状が出そうな位である。

 私があまり麺中毒症状を訴えていたせいか、姉達が鍋等の調理器具一式を病院へ持ってきて、ラーメンを完全殺菌状態(??)で作ってあげるといってくれる。しかし、先生は鍋で作って器に移す時とか調理場から運ぶ時等の衛生面が心配で、かえってレトルト(retort pouch)やカップヌードルといった完全密封調理済みの商品の方が安心という。現在の私は、治療の副作用で味がよく分からなくなっている事もあるので、病院での調理は気持ちだけ有り難く受け取らせてもらって、ラーメンは外泊時のお楽しみという事にした。

 ところで、昨日栄養士(dietician、dietitian)のTさんが、また病院食のアンケートをとりに来た。Tさんは食事の要望を細かく聞いてくれるので、「ご飯(めし)を食べる習慣が余りなく、なかなか飯を食べきれず、汁物がついている時は汁かけご飯にして食べたりしている」という事と「麺類が好物」という話をすると、火・木・土の昼を麺類(素うどん等)に、ご飯食の時は必ず汁物が付く様に変更するという事になった。これで少しは食べやすくなれば(食がすすむ様になれば)良いのだが、と期待した。

 そして今日の昼食から火・木・土は麺類になった。しかし、なんと今日の昼のメイン料理はシチューであった。グスン。。。こんな日に限ってご飯でないとは。仕方なしに生ぬるいおうどんと一緒にシチューを食べたのであった。

2007-04-25

2006-04-18 (火) Hyper CVAD、Bコース等の説明2

 Hyper-CVAD (hyperfractionated cyclophosphamide, vincristine, doxorubicin, and dexamethasone)療法でAコースも終盤に差しかかり、次のコースの説明が昨日あった。その中でBコースはメソトレキセート(Methotrexate)とキロサイド(Ara-C:Cylocide)を4日間にわたって大量点滴するだけと聞いていたので、てっきり1週間から10日位で終わるのかと思っていたが、BコースもAコース同様、約3週間かかるという。

 Bコースでは白血球(WBC;white blood cell)がストンと減って、2週間目頃に底値となり、その後で白血球数が増えていくのだそうだ。私の場合、Aコースは既に4週間目に突入していて、少し時間がかかっているみたいだ。このところ先生達は白血球の上がりが遅いですねぇ~とよく言っておられる。

 Bコースに使う抗癌剤(anti-tumor agent)は髄注(髄空内注入:intrathecal injection、ルンバールLumbal (腰椎穿刺法))で使用したものと同じであるが、点滴で大量投与すると、副作用で粘膜系(mucosa)(眼、喉、口内等)がひどくやられるらしく、眼の保護の為に点眼剤(eye wash;ophthalmic wash;eye drops、目薬)もしなければならないらしい。

2007-04-24

2006-04-18 (火) Aコース(1回目)22日目 大部屋へ移動

 今朝も夜中2時頃に目覚めてその後眠れず。のどの痛み殆んど無し。指先のしびれは相変わらず。頭痛(headache)は9時頃から始まりロキソニン(Loxonin)を飲む。今日はこの一回のみで夜は治まる。頸痛(neck pain)・肩凝りは昨日に引き続き少々残る。

 恒例の抗生剤(ペントシリンPentcillin、タゾシンTazocin)の点滴は、9時・15時・21時の3回。 15時に白血球(WBC;white blood cell)を増やすノイトロジン(Neutrogin;G-CSF)注射。抗菌剤のタゴシッド(Tagocid)200mgの点滴は午前10時頃にある。

 まだ白血球数が少ないという事で今日もシャワーは見送られた為、ガックリ来ていたらナースが足浴というものを勧めてくれ試してみる事になる。両足がくるぶし以上まで浸かる様な容器にお湯を入れて持ってきてくれ、タイマーで10分程電動のバブルモードとか足裏振動モードとかを選べるものであった。電動バブルに足を浸けて気持ち良かった。お湯に浸かってバブルで刺激されたせいか、垢が出てきたのでついでに一杯垢も落とし、足だけだがさっぱりした。

 母は最近ひどく弱っている一方で、パソコンを打って張り切ってもいるそうだ。携帯電話も熱心に使い方を勉強中で、長姉にしょっちゅう電話で使用法を質問してくるそうだ。近々携帯メールを出せそうという話。さすがは母上だ、と感心する。しかし、こうなるとメールが出来ない古いタイプの携帯を持っている私の方が母よりも時代遅れとなってしまう。ちょっと焦っちゃうかも?!

 看護師長さんが部屋を空けて欲しいと言いに来られた。Aコース終盤の私に対し、個別の部屋で集中的に治療したい患者さんが現われたそうだ。個室に入りたいという私のたっての希望やその他治療上の理由から、入院5日目に個室が空いてなかったので2人部屋に移動し、そこを1人で使わせて貰っていた。現在も有料の個室が満室の為、14時過ぎ入院時に入ったのと同じ大部屋へ戻り、荷物の片付けをする。その他、夕刻頃、とんでもない失敗をしていた事に気付き、それまでかなりハイな気分でいたのが一気にひどく落ち込んでしまう。

2007-04-23

2006-04-17 (月) 頭痛について

 「輸血(blood transfusion) (16-19時)したので頭痛(headache)は和らいだのではないか」とTNB先生に聞かれたが、痛み止めのロキソニン(Loxonin)を9時20分と17時30分に飲んでいたので良く分からない。それに今まで何回も輸血してきたが頭痛が軽減するという印象は無い。頭痛が輸血で軽くなる事があるのだろうか? それとも頭痛による聞き間違い?

 いつまで経っても治らない頭痛について改めてKB先生に聞いてみると、ルンバール(Lumbal:腰椎穿刺、髄注)が原因で髄液(脳脊髄液;cerebrospinal fluid)が漏れているからかもしれない、と言う。髄注(intrathecal injection)は腰椎(lumbar vertebrae)に針を刺して、髄液を抜き、抜いた分だけ抗癌剤(anti-tumor agent)を入れる治療だが、その時の針穴から髄液が体内へ漏れて圧(脳脊髄圧:cerebrospinal fluid pressure)が下がってしまう結果頭痛が起こる事もあるらしい(※)。その後先生は「女性だし針をもっと細いのにした方が……(ゴニョゴニョ)……」とつぶやいておられた。針が細い方が穿刺した時の穴もふさがりやすいだろうし、漏れ難いと想像出来るので私も『先生、次回は細い針にして下さい』と内心つぶやき返す。

※ 辞書で調べてみると、腰椎穿刺後頭痛(post-spinal headache、postdural-puncture headache、postlumber-puncture headache)と言うらしい。ルンバール等で脊髄を覆う脊髄硬膜を穿刺した後に発生する頭痛の事だそうだ。通常脳は脳脊髄液に浮いた状態なのだが、脳脊髄液が穿刺部位より漏れると脳脊髄圧が下がり、立ったり座ったりする事で脳が神経等を圧迫する事になって頭痛が発生し、横になる(寝る)と頭痛は消失するか軽くなるという。まるで今迄の自分の症状そのままではないかと驚く。太い穿刺針を使用するとこの頭痛の発生頻度が増えると書いてある。女医のKN先生が説明してくれたイメージが分かり易かった。それによると、「髄液が漏れて、脊髄から頭蓋骨内を満たしている髄液が減ってしまうと、髄液に浮いている状態の脳も下がって頭蓋骨などにカンカンコンコンとぶつかってしまうから頭痛も起こるやろうね」と。

2007-04-22

2006-04-17 (月) Hyper CVAD、Bコース等の説明

 夕食後、先生が血液検査の結果の説明、および次の治療予定について説明に来られた。

 その前に血液検査の結果の見方を先生に聞く。現在の治療状況では、白血球(WBC;white blood cell)数が増えていれば良いと考えるのかと質問すると、「白血球数は白血球を増やすノイトロジン(Neutrogin;G-CSF)を注射しているので上がって来なければならない。それよりもノイトロジンで増加しない血小板(PLT:platelet)が自力で50,000位の値に上昇しているかどうかで治療が順調に進んでいる(血球が作られ始めている)か、Aコース終了かどうかを見極める目安の1つにしている」といった内容の話しをされた。ちなみにこの病院では、血小板は正常値130,000-390,000に対し、20,000以下になると血小板輸血(blood transfusion)をする目安にしているという事だった。

 ところで今の治療では白血病細胞(leukemia cell)を叩いて叩いて、白血球細胞をゼロに近づく位、抗癌剤で殺し、白血球数が最低になる頃から白血球を増やす注射ノイトロジンを打ち始めて、先に正常な白血球細胞を増やそうとしていた。先生はハッキリとは言われなかったが、白血球の減りが悪そうなニュアンスの事を言っておられた。Aコースでの私の最低値は200個なのだが、もっと減るそうである。そしてノイトロジンを打ち始めたのだが、今度は白血球数がなかなか増えず足踏みし、先生の様子から少し心配していたのだが、今日やっと白血球細胞が増え始めた。他の正常細胞も増えているようだ。

 先生は、白血球数は700に増えてきたので良い感じだ、という。血小板は一見35,000から30,000に減少した様に思えるが、いつもなら3日も経てばまた血小板の輸血をしなければならない位(即ち20,000以下)に減っている時期なのに、30,000と減り方が少ない事から、これは血小板が作られ始めている、と考えるらしい。なるほど。

 Bコースに移るタイミングは白血球数が3,000以上になった時を目安としているそうだが、その前にまたマルク(Mark:骨髄穿刺;bone marrow puncture)を行なって骨髄に悪い細胞がいないかどうかを調べるらしい。このマルクは治療の各コースが始まる前に毎回行なわれるそうだ。気が重いが確認の為には仕方が無い。

 白血球が上手く増えていけば今週末か来週頭に次の治療過程であるBコースに移り、この増えた白血球細胞(正常な細胞とこれに遅れて増えてきていると予想される病気の細胞の両方)をもう一度ゼロ近くまで叩いて、正常な白血球が増えるのを待つ。これで白血病細胞が検出されなければ『寛解(remission)』という判定をもらえる状態(第一段階終了)になる、と話された。

 Bコースは、Aコースの髄注(intrathecal injection、ルンバール(Lumbal:腰椎穿刺))で使ったメソトレキセート(Methotrexate)とキロサイド(Ara-C:Cylocide)という抗癌剤(anti-tumor agent)を4日間に渡って大量に点滴投与し、脳にも効かせるのが目的だと言う。Bコースでは白血球数はストンと下がり、ついでグングン上がってくる(増加する)らしい。

 治療に採用されているHyper CVAD療法の原法(1998年?)  (参考:資料1資料2)では、A&Bコースを1セットとして計4セット行なう方法で私の場合はこの原法でいく予定らしい。つまり、コース(course)を8回こなさなければいけないという事になる。先生やナースは8クール(Kur)と言う表現をしている。体力の無い人等は計3セットでおしまいにするなど、減らしたりするという。

 私の場合、純粋な急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia;ALL)ではない為、完全な寛解(完全寛解:complete remission;CR)は難しく、また再発(recidivation、relapse、recurrence)した場合、再発時期にもよるが特に早い時期だと治療薬が効き難くなる可能性があり、第2寛解(再発後、再度寛解に達する状態)へ持っていける確率は低くなるので、寛解・地固め治療が終わったらリスク(risk)は非常に高くなるが、HLA(Human Leucocyte Antigen)の一致した次姉との骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)にすぐ移った方が良いという話である。また、入院時点での異常(白血病)細胞も多過ぎたのも、移植を早く勧める理由であると言う。

 いずれにしても、治療はまだ初期段階で、まだまだ入院生活は続く事を改めて確認する結果となった。

2007-04-21

2006-04-17 (月) Aコース(1回目)21日目 

 のどの痛みと肛門(anus)の痛みは軽減してかなり楽になってきている。指先のしびれは相変わらず。頭痛(headache)も相変わらず。頸痛(neck pain)・肩凝りはまだ続く感じ。月経(menstruation;menses)は終わったと思ったのに昨日に続きまだ少し経血がある。いつもと違って変である。今回なかなか終了しない? 今朝は快便。体重は入院して2~3kg減ったが、現在病院食(おかずとめし120g)を残さず食べる様にしているのが丁度良い量らしく、体重が安定してきている。

 採血(5本)と検便(fecal examination、scatoscopy) 2本あり。検便ではCDトキシンAは陰性だったとの事だった。恒例の抗生剤(ペントシリンPentcillin、タゾシンTazocin)の点滴は、今日は1日3回、9時・15時・21時にある。今日から夜の点滴は22時ではなく21時にしたとの事。 15時に白血球(WBC;white blood cell)を増やすノイトロジン(Neutrogin;G-CSF)注射。抗菌剤のタゴシッド(Tagocid)200mgの点滴は1日1回、午前10時半にある。

 治療に半年位かかると聞かされているが、点滴に欠かせない胸から出ているCVカテーテル(central vein catheter;中心静脈カテーテル)というものはその間、もつのかTGナースに、聞いてみた。すると半年ももたない患者さんも多いと言われ、ビビッてしまう。あんな辛い思いをまたしたくはない。但し、CVカテーテルを入れ替える事になったとして、新しく胸に穴を開ける(挿入する)のではなく、現行の所に新しい管を差し替えるのだと教えてくれる。どちらにせよ、そういう事態にならない事を祈るのみである。

 血液検査の結果は、先ずヘモグロビン(hemoglobin;Hb;HGB)が6.5で7をきったので、赤血球の輸血(blood transfusion)があった。白血球(WBC;white blood cell)はようやく増え始めたらしく、200から700になっていた。先生曰く、好中球(Neutrophil)は94%、LDH(lactate dehydrogenase;乳酸デヒドロゲナーゼ)は123と標準値内で、余計な血球が壊れているわけでもなく、まずまずらしい。血小板(PLT:platelet)は増加してはおらず、前回の35,000から30,000へ減っていた。今週一週間の血液の値(動き)を見て、次のBコースに移るタイミングを見ると言う。血小板が自力で増えるのが目安だそうだ。また、4/14(金)の、 炎症反応をみるCRP値の上昇で急遽実施された検査の結果は、咽頭スワブ(throat swab):Normal flora(正常値以内)、静脈血(venous blood:CVカテーテルから採ったもの):菌なし、末梢血(peripheral blood:腕から採ったもの):β-D-グルカン(カビ関連らしい)は陰性、という事で一安心。

 手の親指の爪半月(lunula) (爪で白い半月部分)が消えかけている件を質問すると、この原因はやはり、抗癌剤の影響だろう、との事。爪半月が出る爪の根元は細胞分裂が一番盛んな所なのだが、抗癌剤は細胞分裂自体を叩いているので、そういう場所に変化として現われるそうだ。そして、今後抗癌剤を何回も繰り返して使う為、何度も爪の成長が止まってしまう結果、そのうち爪に横線として現われ、波打つ様に爪にしわが出てくるらしい。確かにこの頃、爪の伸びが遅くなっているなぁっと感じていたが、気のせいではなかったらしい。

 質問ついでに、入院時の状態をしばらく放置していたら(つまり病気に気がつかず入院せずにいた場合)どうなっていた可能性があるかをKB先生に尋ねてみると、あと一週間位は体調不良のままフラフラと動いて仕事をしていたかもしれないが、それ以上だと貧血(anemia)で倒れる等して、多分救急車でどこかの病院へ運び込まれていただろう、との事だった。

【血液検査結果】4/17
WBC(白血球数)700 [/μl]、HGB(ヘモグロビン) 6.5 [g/dl]、PLT(血小板数)30,000 [/μl]、網赤血球数(reticulocyte) 2.4[プロミレン]、好中球(Neutrophil) 94.0%、リンパ球 6.0%
GPT 38[IU/l]、LDH 123[IU/l]、ALP 361[IU/l]、γ-GTP 240 [IU/l]、尿酸(UA) 2.1[mg/dl]、クレアチニンキナーゼ(CK) 13[IU/l]、CRP(炎症反応) 6.2[mg/dl]、好中球数 658[個]

2007-04-20

現在の内服薬等

 現在の内服薬の一覧と、薬について先生から受けた説明や自分で調べた内容を以下にまとめてみる。

【毎日服用する薬】
・マーズレンS顆粒(Marzulene-S) [1.5g/day] 、 1日3回毎食後 
 *消炎性抗潰瘍剤
 ※3/27夜より服用開始

・ザイロリック錠(Zyloric) [100mg] 、 1日1回朝食後 
 *尿酸産生阻害剤(通風治療剤)、化学療法剤
 *副作用:貧血(anemia)、脱毛(alopecia)、白血球(WBC;white blood cell)減少、血小板(PLT:platelet)減少等
 ※4/5迄は毎朝夕服用、4/19朝で服用終了

・バクタ錠(Baktar) 、 1日1回昼食後
 *抗菌剤(antimicrobial agent;antibacterial agent)、防カビ剤(fungicide)
  ★副作用:白血球減少、血小板減少等
  ★メソトレキセート(Methotrexate)剤使用前後各2日間は服用中止する。
 ※酒(アルコール)との相性は悪いらしい。

・ミコシストカプセル(Mycosyst) [100mg]×2 caps、 1日1回夕食後
 *抗菌製剤、防カビ剤
 *深在性真菌症治療剤(シオノギ)
  ★副作用:オンコビンとの副作用あり。
  ★オンコビン(Oncovin)投与日とその前後日は服用を中止する。

【頓服薬】
・ロキソニン錠(Loxonin)      [60mg] 、 頓服、1回1錠
 *セルベックスカプセル(selbex)[50mg]1カプセルと共に服用(胃腸の保護剤)

【点滴薬】
・ペントシリン(Pentcillin)  、 注射用2g
 *一般名: ピペラシリンナトリウム(Piperacillin Sodium)
 *ペニシリン系(penicillins)、抗菌剤
  ★生食100mlにタゾシンも入れ、約一時間かけて点滴。
  ★1日3回、9時、15時、22時(夜間の分だけ4/17より21時に変更)点滴

・タゾシン(Tazocin) 、 静注用2.5g
 *一般名: タゾバクタムナトリウム/ピペラシリンナトリウム(tazobactam sodium/piperacillin sodium)
 *セフェム系(cephems)、抗菌剤。β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質。
  ★生食100mlにペントシリンも入れ、約一時間かけて点滴。
  ★1日3回、9時、15時、22時(夜間の分だけ4/17より21時に変更)点滴

・タゴシッド(Tagocid) 、 注射用タゴシッド200mg×2
 *一般名:テイコプラニン(teicoplanin)
 *グリコペプチド系抗生剤。MRSA抗菌薬。
  ★メチシリン・セフェム耐性の黄色ブドウ球菌(MRSA)に対し、従来の抗生剤と比して強い抗菌活性を持つ。
  ★生食100mlに入れ、約一時間かけて点滴。
  ★1日1回、10時頃点滴

【その他の薬】
・酸化マグネシウム(magnesium oxide) 、 適宜( ~3回/日)
 *便秘症治療薬。制酸剤。便を柔らかくする。
 
・強力ポステリザン軟膏(Posterisan) 、 適宜
 *肛門(anus)ケア用の軟膏。注入または塗布する。
 *『強力』と書いてあるものはヒドロコルチゾン(hydrocortisone)が入っている。
 *糖質副腎皮質ホルモン.抗炎症薬(anti-inflammatory drug)

2007-04-19

2006-04-16 (日) 味覚異常 

 ここの病院食はおいしくないものが多く、「化療後食」というのもまずい。4/4から化療後食となって、ご飯(めし)の量は230gから120gに減ったのは有り難かった。多分入院以降ずっとめしを半分以上残していたからだと思う。食欲は落ちていないがまずくてたまらない。化学療法(chemotherapy)の副作用(side effect)で味覚(gustatory sensation;taste sense)がおかしくなってしまう人は多い。しかし、いくら味覚がおかしくなってしまったからとはいえ、(申し訳ないが)ここの病院食はおいしくない。まずいと言うのは贅沢であろうか?

 ある日、栄養士のTさんという人が、病院食についてのアンケートを取りに来られた。「おいしくない」というのにはどうやら定評があるらしい。それ以外で私はもともと薄味の方なのだが、味がしない、塩分が足りなく感じる、と訴えてみると、化学療法を受けている人は皆そういう傾向があると聞かされた。塩分を感じる味覚もおかしくなっていると言われても、一応塩分は感じる。しかしどうしても物足りない。薄味の私が薄過ぎると感じる位、塩味が足りなく感じるのである。自分の舌が塩分に関してもおかしくなっているとは理解出来ないのだが、おかしくなっているのだろうか。

 もう1つ、ちょっと前になるが、お見舞いに来てくれた姉に何か欲しい食べ物は、と聞かれ、久しぶりにアイスクリームを食べてみたいと言ってみた。思えば、入院以降、病院食のみで殆んど間食もせずに過ごしてきている。私の病気は(血液の病気で入院している患者さん達は)カロリーについてはぜんぜん制限されていない様なので、確認は取っていないが、いくら間食しても良い様だ。4人部屋にいた時は皆結構おやつやお見舞いの差し入れ等を自由に食べていた。姉は治療時の白血球(WBC;white blood cell)が少ない時にも許可されているものの一つ、密閉された(シールされた)カップのHDアイスクリームを買ってきてくれたので一緒に食べた。しかし、あんなに大好物のアイスクリームの味がせず、おいしいとすら感じなかったのが少々ショックであった。味覚の破壊は相当ひどい様だと感じざるを得ない。

2007-04-18

2006-04-16 (日) Aコース(1回目)20日目 (御復活祭)

 のど痛、指先・舌先しびれはいつもと同じ。首・肩凝りきつく膏薬(plaster)をナースに貼ってもらう。朝一番で便通(bowel movement)あり。肛門(anus)は痛く、軟膏(ointment)ケアするのも痛い。体重また1kg程減る。微熱(low grade fever;subfever)あり(37.4℃)。月経(menstruation;menses)は一昨日終わったと思ったのにまだ少し経血がある。

 今朝も頭痛(headache)があり。無理しなくても言いと昨日KN先生に言われたので、午前中からロキソニン(Loxonin)を頼む事にし、8:30に飲む。9:30頃TNB先生が来られ、頭痛の事を聞かれる。TNB先生は脳脊髄膜炎(meningitis:脳膜炎、脳軟膜炎;cerebrospinal meningitis、cerebral meningitis、leptomeningitis)を恐れているらしく、発熱(pyrexia、fever)と吐き気(nausea)が症状としてあるという。頭痛で微熱はあるが、吐き気はないので大丈夫だとは思う。ロキソニンは痛み止めであると同時に解熱剤(antipyretics)でもある事からこれらの症状がロキソニンを飲む事によって隠れてしまう事を恐れ、出来るだけ飲まない方が良い、というニュアンスの事を話される。

 今朝飲んだロキソニンは、今日は1時間半後位に効き始めた気がした。しかし薬の効き目はそんなに長くは続かない様で、また頭痛が始まる。即ち長く起床しておられず、すぐに横になる。いつもベッドに横になると頭痛はマシになる。ロキソニンは1日3錠を限度に、最低6時間空けて服用する様に言われ、ナースに頼むと今朝飲んだ時間を聞かれ、時間が十分空いているのを確認してから薬を渡され、飲むのを確認された。16時に再度ロキソニンを服用したが、やはり頭痛と共に肛門の痛みも引くのがありがたかった。

 抗生剤(ペントシリンPentcillin、タゾシンTazocin)の点滴は今日も1日3回、9時・15時・22時にある。 15時に白血球(WBC;white blood cell)を増やすノイトロジン(Neutrogin;G-CSF)注射。抗菌剤のタゴシッド(Tagocid)200mgの点滴1日1回、今日は午前10時半にある。

 夕食後、母より電話があり少々お話しする。話しているうちに母は私を励まし激励してくれているつもりなのだろう、「前向きに頑張ろう」という言葉を何度も繰り返す。余りにしつこく言われるので、そんな言い方はないでしょう、とまた口論になりかける。まるで私が病気を苦に、気にして、後ろ向きになって、愚痴って、泣きわめいて、治療を嫌がっている様に聞こえてきて不愉快である。前々から気になっていたのだが、「前向きに頑張ろう」と、こうも何回も繰り返されるとゲッソリする。心配してくれているのは分かるのだが、私なりに精一杯頑張っているつもりなのに。出来るだけ皆に迷惑をかけずに済む様に、見舞いは来なくていい、気持ちだけでいい、どうしても頼みたい事があったらこちらからお願いする、それより母の見舞いをしてほしい、母の事をお願いするといって頑張っているのに。。。 気持ちを落ち着けて母も無理せずに身体に気をつけてと話して電話を切る。

2007-04-17

2006-04-15 (土) Aコース(1回目)19日目 

 のど痛少々、指先・舌先しびれ昨日同様。首・肩凝り。頭痛(headache)は相変わらずで午前はずっと寝て過ごす。体重また1kg程減る。微熱(low grade fever;subfever)あり(37.4℃)。

 抗生剤(ペントシリンPentcillin、タゾシンTazocin)の点滴は今日も1日3回、9時・15時・22時にある。 15時に白血球(WBC;white blood cell)を増やすノイトロジン(Neutrogin;G-CSF)注射。昨日から始まった抗菌剤のタゴシッド(Tagocid)200mgの点滴が1日1回午前10時にある。

 頭痛で未だに長い時間起きていられず、すぐに横になってしまう件を話すと、KN先生が、今は抗生剤や抗菌剤の点滴をしているので、頭痛がひどいのなら無理せず薬を飲んで良いと言われた。何故抗生剤や抗菌剤の点滴をしていたら痛み止めを飲んでも良いのかと質問すると、例えばもし感染(infection)して発熱(pyrexia、fever)していたとしても痛み止めを飲むと、熱も下げてしまうので見逃してしまう危険があるのだという。それを恐れて白血球が減少している時はむやみに痛み止めを処方しないそうなのだ。しかし現在各種点滴をしているので更なる感染の恐れが少なくなった事もあり、無理して我慢して苦しむより、痛み止めを飲んで苦痛を和らげる方が大切であるとの判断からだそうだ。

 早速ナースに痛み止めお願いした。痛み止めに何がくるのかと思ったらロキソニン(Loxonin)がきた。入院する前から、肩が痛いとかでよくお世話になっていた薬だった。午後に薬を飲んだのだが、このロキソニンが効いたのか、頭痛、のど痛がなくなり、更にずっと四六時中痛くて辛かった肛門(anus)の痛みも軽減した。気分よし。ああ、こんなに効くのならもっと早く飲みたかったと思う。

 両手親指の爪の爪半月(そうはんげつ:lunula、乳白色に見える部分)が左では消えかけており、右でも薄くなり始めている事に気付く。抗癌剤(anti-tumor agent)はやはりきつい薬なのだなと実感する。凄いというか、不気味な感じ。

2007-04-16

2006-04-14 (金) HLA完全一致

 KB先生より、次姉とHLAの型が完全一致したという報告を受けた。次姉は今後ドナー(donor)としての適性検査・健康診断(medical examination)・心電図(electrocardiogram;ECG)・レントゲン写真(an X-ray (photograph))等色々受けて審査に諮られるという。しかし、先ずは私自身が寛解(remission)になるのが先決という。ごもっとも。早速家へ連絡すると、長姉はすでに昨夜、KB先生から次姉へ連絡があったので知っていたという。母もこの事を知って涙を流して喜んでくれたという。心配かけていたが、これで完治(complete recovery;complete cure)の可能性が出てきた様に感じた。

 私の治療の最終段階は骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)を受けるのが最善なのだと先生はいう。私が発病して入院後受けた骨髄検査のマルク(Mark:骨髄穿刺;bone marrow puncture)は局所麻酔(local anesthesia;regional anesthesia)で胸の真ん中から採られ、非常に辛かった。骨髄移植の場合、全身麻酔(general anesthesia)されたドナーの臀部の骨から数箇所に分けて骨髄を採取し、患者はその骨髄液を輸血(blood transfusion)の様に血管に点滴で入れていくそうだ。

 この骨髄移植を出来るだけ安全に行なう為には、HLAの型が同じかどうかが重要な問題となってくる。このHLA (Human Leucocyte Antigen) とは白血球(WBC;white blood cell)の血液型で、遺伝子の座(gene locus)は大きく分けてクラスIとクラスIIに分けられ、クラスIにA座・B座・C座、クラスIIにDR座・DQ座・DP座があり、それらが更に多数の型に分かれている組織適合性抗原(histocompatibility antigen)の一つであるそうだ。HLAの型はこれらの組み合わせによって出来る為、赤血球の血液型であるABO型(A・B・O・ABやRh+等)とは違って、HLAの型は膨大な数になる。骨髄移植の時は、このHLAの型のうち、A座・B座・DR座にそれぞれ2つある合計6つの座が一致している事が望まれる。

 この白血球の型が一致していないと、せっかく移植しても、移植したドナーの骨髄(白血球)が患者の白血球(等)を敵とみなして攻撃し始めてしまう事になってしまう。これら全てが一致する確率は兄弟姉妹で4分の1、骨髄バンクからだと一致する確率は非常に低くなるという。このHLAが次姉と6座とも完全一致したのである。ちなみに長姉とは1座も一致しなかったそうである。(5座一致、4座一致で移植するケースもある。この場合は、リスクはあるが別の治療効果を期待する事が出来るのだそうだ。しかし私の場合完全一致なのだからと、この説明は省略されてしまった。 ※[参考]GVL効果(graft-versus-leukemia effect) ドナーの造血細胞が腫瘍を攻撃する事による抗腫瘍効果)

 ところで次姉は3~4日程前、ドナーになる事について『最初は少しビビったけど、もう、何の迷いもない』とメールで送ってきた。これを読んだ時初めて、ああ、怖いんだ、という事を知らされた。自分が骨髄を提供する逆の立場になった場合、どうなんだろうか? どんな風にされるのかパンフレットを見てもやはり実感としては良く分からないだろうから、きっと不安を感じるだろう。『結論は出ない』と書く一方で『迷い』はもうないと改めてメールを送ってきてくれる。そして次姉が持つ強運を全て私に送るとメールで励ましてくれる。次姉に感謝、私の為に骨髄を分けてくれるって言ってくれてありがとう。

 夜、ネット通信出来る様になったパソコンを使い、次姉に、いずれ来るであろう骨髄移植の時は宜しくお願いしますという事と、それまでは無理して遠路、車で私の見舞いには来なくて良いから、まだ小学生の息子と家族との時間を大切にして下さいと、お礼とお願いのメールをする。次姉は子供が生まれた時、男の子だから母親になつくのは小学生の頃までだろうし、その時までせいぜい一杯愛情注いであげる、といった事を言っていたからだ。

2007-04-15

2006-04-14 (金) Aコース(1回目)18日目

 のどが痛く、指先・舌先のしびれは前日同様。肩・首周りがこっている。微熱(low grade fever;subfever)。頭痛(headache)は治らず、1日寝て過ごす。月経(menstruation;menses)はほぼ終了したと思われる。また、今日は便通(bowel movement)が1日で4回もあり、肛門(anus)が悲鳴を上げそうな状態である。最近は排便(defecation;evacuation)の度に処方してもらった軟膏(ointment)の「強力ポステリザン軟膏」でケアをしている。便自体も、下痢(diarrhea)でも硬い便でもなく通常ならぜんぜん問題にならない良い状態なのだが、肛門の筋肉(粘膜)が弱っている感じで、排便自体にに耐えられない程腫れている。痛い。

 今日はナースにシャンプーをしてもらう。シャワーは好中球(Neutrophil)数が少ないのでまだ禁止であるが、髪だけならシャンプー台があるので洗ってもらえる(自分で洗っている人も見かけた事がある)。髪は大半抜けたとはいえ、まだ抜けずに残っている毛も多く、ホットタオルで拭くには髪が邪魔する状態である。そこで、まだらに髪が残っている頭が恥ずかしかったのだがシャンプーしてもらえるか聞いてみたのだ。入院時の髪のあった頃は、ナースがドライヤーまでしてくれたので、びっくりの感激感謝ものだったが、今は毛も殆んど無くなってしまったのでハンドドライで十分であった。

 今朝の採血結果、白血球(WBC;white blood cell)が思ったより増えていないと先生が説明に来られた。白血球数が増えていない(逆に300から200と減ってしまった)し、炎症(inflammation)を示すCRP値がまた上昇 (1.0から8.1へ急増)しているので、感染の恐れがある。という訳で、また緊急採血が必要となり、4/7の時の様にCV(central vein;中心静脈)カテーテル(catheter)から静脈血(venous blood)と腕から末梢血(peripheral blood)の追加採取、咽頭スワブ(throat swab)があった。

 そして更に新しく抗菌剤、タゴシッド(Tagocid)200mgの点滴が追加で開始された。今日は11時と23時の2回あったが、明日からは午前10時の1日1回のみになるそうだ。4/7から開始された抗生剤(ペントシリンPentcillin、タゾシンTazocin)の点滴は今日も1日3回、9時・15時・22時にあった。 15時に白血球を増やすノイトロジン(Neutrogin;G-CSF)注射もいつもの通り。化学療法(chemotherapy)が終わったのに点滴で忙しい一日である。治療は順調に進んでいるのかと思ったが、今回は足踏み状態か? 

 長姉、母と次姉に親子携帯電話を購入したという。これで母と姉妹3人全員携帯電話を持った状態になった。一方で私の携帯だけがメール機能もカメラもない古い時代の機種となってしまったが、私はノートパソコンからメールを送れるので不便は無い。母は体力が無くなってきてパソコンを打つ力もなくなってきていたのだが、携帯なら便利だろうか、大変だろうか、メールが使える様になったらいいのになぁ、等と思う。長姉は家や母、私の事等、色々仕事を一杯してまた関東へ帰っていった。何度も遠距離往復、ありがとう。

【血液検査結果】
WBC(白血球数)200 [/μl]、HGB(ヘモグロビン) 7.4 [g/dl]、PLT(血小板数)35,000 [/μl]、網赤血球数(reticulocyte) 0.7[プロミレン]、好中球(Neutrophil) 10.0%、リンパ球 84.0%、単球(Monocyte) 2.0%.
GPT 33[IU/l]、LDH 125[IU/l]、γ-GTP 169 [IU/l]、CRP(炎症反応) 8.1 [mg/dl]、好中球数 20[個]

2007-04-14

2006-04-13(木) Aコース(1回目)17日目 心臓超音波

 のどの痛さ、指先と舌のしびれは昨日と同様で軽頭痛(headache)がする。

 朝食後、9時から予約されていた心臓超音波(心エコー法:echocardiography)に行く。心エコー受診は初めてで、何されるのかと不安だった。まだ白血球(WBC;white blood cell)が少ないのでマスクをして病棟から離れた一般外来の人も来る検査室へ行く。上着を検査着に着替え、カーテンで仕切られた薄暗いスペースにはいると機器とパソコンモニター、ベッドがあり、PCモニター画面を背にしてベッドに横向きに寝てバスタオルをかぶせられた上で心臓の辺りにジェリーみたいなものを塗られ、エコー器具をグッと押し付けられ、検査された。ぐりぐりと場所をさぐられる感覚が、非常に不愉快で、器具を押し付けられている所がなんとも不快に痛く、いつまで続くのかと我慢するのが辛かった。ずっと沈黙の中、検査が続き、どうなっているか全然説明もなくされているのも嫌だったが、ベッドの端に座って検査している男の先生とお尻が軽くくっつけられているのがどうしても不快だった。やっと検査が終わると、ティッシュBoxを渡され、塗られたジェリーを拭き取ったら病室へ帰っても良いという事だった。髪の毛も急に抜け落ちて、いよいよ病人らしくなってしまって、何ともむなしい気持ちで一杯になる。

 心エコーがあったので今日一回目の抗生剤(antibiotic)の点滴は9時45分から開始された。いつもどおり、1日3回。そして15時に白血球を増やすノイトロジン(Neutrogin;G-CSF)注射もいつもの通りあった。心エコーの結果は、後で担当医の先生が異常なかったそうだと報告してくれる。確かこの心エコーは、私が初めてルンバールを受けた時 に訴え、その後時々起こった奇妙な胸のあたりの痛みみたいなもの(どうやら私特有の反応だったらしい)に対して、念の為、心臓も見ておこうといっていた検査だと思う。

 朝、KB先生が珍しく学生2人を連れて診に来られた。「KB先生回診(round)ですか?」とつい聞いてしまう。医療現場を見学させているという。いつも問診(inquiry)だけなので、別にかまわないが、なんとなく檻の中の動物って気分?  しかし、学生は右も左も分からない様な感じでピヨピヨとKB先生の後をついて回っている様子が微笑ましかった。

 昨夜また東京より来てくれた長姉が、母のヘルパーさんであるHさんを連れてきた。母は彼女を介護保険とは無関係の時給で雇っているのだが、私が何かして欲しいことがあったらHさんにも頼めばいい、と言ってくれている。とてもありがたいが、踏ん張れる所まで頑張れる所まで、出来るだけ迷惑をかけない様にしようと、やはり思ってしまう。私が母にしてあげられなくなった色々な仕事も一杯あるのに、この上私の為に母のヘルパーさんの時間まで割くなんて申し訳ないし、そんな事は出来るだけしたくない。

 Hさんはとても優しい気さくな人で、かつてご自身の母親も介護した経験がある為、動きが不自由になってきた母の気持をよく理解してくれる人でもある。彼女は私の入院直前に交通事故で鎖骨骨折(fracture of clavicle)して入院していた。お見舞いの挨拶メールを出した私がまさか緊急入院してしまうとは、その時は思ってもみなかったので、なんだかこうして会うと不思議な気分になる。髪は殆んど抜けてしまったので、今回、母が昔使っていたカツラ(鬘:wig;hairpiece)を家から持ってきてもらった。今はタオルを頭部に巻いたスタイルにしているが、前髪と後ろ髪がタオルの端から少々覗いているので毛が抜けてしまった様には見えないと言ってくれる。編み物上手なHさんに毛糸の帽子を編んで下さいとお願いした。

 長姉は今回、インターネット(internet)のカード(card)を入手して持ってきてくれたので、ようやく病室でノートパソコンのインターネットとメールが使える環境になる(病院には使えるかどうかの許可は得ている)。

 3月分の入院費の請求書が来た。5日間なのだが、3割負担で11万円を超えたので想像より高くて驚いてしまった。今後どれ位かかってしまうのだろうか・・・金銭面でも大変な病気になってしまったと、改めて考えさせられてしまった。

2007-04-13

2006-04-12 (水) Aコース(1回目)16日目 教授回診

 今日は血液内科の回診(round)の日であると放送が流れ、例によって良く訳が分からない教授回診があった。毎週水曜日が回診の日になっている。先生の一団は各病室の前の廊下に先ず集まり、教授と先生方は各患者(patient;Kranke:クランケ)の現在の状態説明を受けてから入室する。診察が終わると次の病室へ一団は移動していく。変なのは、普通、私の時はその説明を私の担当の先生がしてくれるものと思っていたのだが、知らない先生が説明しているのである。私の担当している先生は4人もおられるのにこの回診の一団の中に一人も入っていないのだ。つまり知らない先生ばかりが教授の後にゾロゾロついて回るのである。もう1つ、いつもと違ってハイテンションなのが看護師長さんだ。教授が部屋に入るに先立ちパタパタと入ってきて回診がある事を告げ、ポケッとしてベッドに座っていた私の上着のボタンを外し始めた。教授が入ってこられ、やさしく問診(inquiry)の後、聴診器(stethoscope)を当て、触診(palpation)をされたが、その間、看護師長さんは服の片側を持ち上げて他の先生から胸が見えない様にしてくれたりしていた。回診はまだ他にも続いているので、一団が部屋から去ると、看護師長さんは「教授回診の時は診察がすぐに済む様に予めバスタオルを用意しておいて、上着のボタンを外してバスタオルを胸に当てて寝て待つ様にしておいて下さいね。」と手早く説明をしてから次の部屋へと小走りに出て行かれた。この説明は初めて受けたので、驚いた。後で他のナースの聞いたのだが、教授は忙しいので、教授回診は2週間に一回位の割合で、その他の週は他の先生(助教授?)が回診されるそうだ。そういえば先週の回診時は問診とお話だけで、触診等はされない先生だった。

 今朝は両手の指先は第一関節のあたりまでしびれている。舌も全体にしびれかけた様な感じだが、まだ食欲はある。午後になると、指や舌のしびれはきつくなった感じがする。KB先生の話では、手足のしびれの原因はオンコビン(Oncovin)の副作用(side effect)による可能性が高く、ルンバール(髄注) (Lumbal:腰椎穿刺)時のメソトレキセート(methotrexate)も手足のしびれという副作用があるという。目下、ステロイド(steroid)の効果が弱くなったので(月曜日に最後のデカドロン(Decadron)の点滴をしている)、副作用(side effect)として強く出始めているのかもしれないという(というのは、ステロイドは悪い症状を隠してしまう所があるので)。オンコビン等のこのしびれの副作用は神経に働いて何年も続くのだそうだ。今後の治療で何度もこの抗癌剤が使われるのだが、蓄積されていく為、しびれは全ての治療を終えた後でないと軽減していかないとの事(数年かかるらしい)。かなり長期に渡り後遺症(secondary disease)として残る人もいるそうだ。重症な人になると稀にお箸が持てなくなる程のしびれが出る人もあると聞き、身震いしてしまった。人によってどうなるかは分からないので一応覚悟しておかねばならない、と思った。

 本日の採血で血小板(PLT:platelet)が少なくなってきていた、との事で輸血(blood transfusion)があった。白血球(WBC;white blood cell)は前回より少し増えてきたので、これからはどんどん増えるだろう、との説明が先生からあった。炎症反応を示すCRPは4/7に6.9と高かった為、抗生剤(antibiotic)の点滴が始まったのだが、それが良く効いてきたのか、今日は1.0とかなり減っている。この抗生剤の点滴は今日も1日3回、そして15時に白血球を増やすノイトロジン(Neutrogin;G-CSF)注射もいつもの通りあった。

 のどが少し痛いがこれは粘膜(mucosa)がやられる抗癌剤(anti-tumor agent)があるので、その副作用かもしれない、との事。今日は時間が経つにつれ、のどの痛さも増してくる感じがする。熱が少しだけあった(37.3℃)。便通(bowel movement)はしっかりした量がある。肛門(anus)粘膜保護が感染(infection)予防に大切と昨日聞いたので軟膏(ointment)でケアも丁寧にする。

 脱毛(alopecia)手入れ、今日はもう殆んど毛が抜けなくなった。頭頂部が集中的にほぼ抜けたのだが、髪はきれいさっぱり全部抜けるわけではなく、周辺部に抜けずに残った毛が随分ある。バンダナかタオルで頭を覆う様にしてつけると抜け残った前髪少々と襟足の髪の毛がバンダナの端から覗くので、いかにも「まだ髪の毛はありますよ」って感じにまだ見えるかも? しかし、最終的には完全に抜けてしまうらしい・・・

【血液検査結果】
WBC(白血球数)300 [/μl]、HGB(ヘモグロビン) 7.3 [g/dl]、PLT(血小板数) 21,000 [/μl]、リンパ球 99.0%、CRP(炎症反応) 1.0[mg/dl]

2007-04-12

2006-04-11 (火) 肛門痛について

 朝、丸一日おいて便通(bowel movement)あり、ほっとする。このところ、排便(defecation)しなくても抗癌治療開始以降は肛門(anus)が痛くて困っていた。治療が始まって、一度排便時にちょっと切れたかなぁと思った事があった。通常ならすぐに治るところなので気にもしていなかったが、今回は治らず、化学療法(chemotherapy)が進んで白血球(WBC;white blood cell)の少ない状態(200個位)が続くにつれ、次第に肛門が怪しい状態になり、以前ごく稀に起こしたひどい痔(hemorrhoids;piles)の時の様な痛みが一日中ある様になった。

 化学療法開始以降、しびれとかで頬を触ってみてもごく軽くだが麻痺(paralysis)した感じやし、舌もしびれ、脱皮でもするのじゃないかと思う位、口の中の皮がめくれたりし、腕等の皮膚にも自分の皮膚なのに違和感を感じている。これとある意味同様な感覚で、肛門の皮膚も自分の皮膚でない様な感覚で、しかも全然“力(りき)”が無く、ふにゃふにゃな状態なのに、炎症(inflammation)を起こしてパンパンに腫れ上がってしまっている。

 先生に聞くと、白血病(leukemia)の治療の最中に、痔の症状を訴える人は多いという。肛門のちょっとした傷を治すのは白血球の仕事なのだが、その白血球を治療でひたすらゼロに近付けている最中なので、傷を治すだけの数が足りず、炎症を起こすのだそうだ。のどの痛みも同様で、今迄知らずにいたが、白血球がそんなに体をマメマメと守ってきてくれたのかと、身をもって感心した。しかし、痛いものは痛い。

 ずっと我慢していたが、ただれてきたのか、触れるだけでもひどく痛む様になったので、何か適当な塗り薬はないかと軟膏(ointment;unguentum;unction)を頼んだのが4月8日。するとこの日からナースや先生が来るたびに肛門の具合ばかり毎回毎回聞いてくるので難儀する。というか、一度誰かが聞いたらみんなにその日の状況を分かる様にでもしておいて欲しいと思うのに、判で押した様に来る人来る人に同じ事を聞かれうんざりするし、いい加減腹立たしく思う位になる。いずれ4人部屋に戻った時この調子で聞かれるとしたら、「○○さん、今日は、痔の具合はどうですか」と聞かれている様なものだから、たまったものではない。

 軟膏(強力ポステリザン軟膏)は排便後に一回だけ使用したのみで、残り数回分は残っている状態である。肛門は一日中じんわりと痛い感じなのだが、4月11日にナースのKNさんがその件について説明してくれた。それによると、この治療で患者さんの中には肛門の痛みがひどくなって手術(operation;surgery)をしなければならなかった場合があるという。それから、この肛門の痛みというのは、のどの痛み(のどの粘膜が弱っている)と同様で、肛門側の粘膜(mucosa)が弱っていないかを心配しての質問であるという。つまり抗癌剤(anti-tumor agent)のうちで粘膜を傷付けてしまう副作用のあるものによって、のどから胃腸・大腸、肛門に至るまで(一本に繋がっている)の粘膜系がやられてしまうのでそこからの感染(infection)等を注意しなければならないのだという。この説明を受けてようやく納得した。しかし、理解は出来ても、こう毎回みんなに肛門の具合を聞かれるのはなんともかなわない。

2006-04-11 (火) Aコース(1回目)15日目 IVHコネクター交換

  今日はIVHコネクター交換があった。IVH(intravenous hyperalimentation )をCV(central vein;中心静脈)と言う時もあるみたいだ。ナースや先生によって言い方が統一されていないのは、初めてその言葉を聞く患者にとってややこしいだけなのだが、大体同じ意味で使われているらしい事がナースや先生に質問等しているうちに分かった。IVHカテーテルは胸から体内の中心静脈(CV)へ先端が挿入されている(留置カテーテル:indwelling catheter)が、体外で2本の管に分かれて出ている(カテーテルによっては3本に分かれたもの、1本だけのもの等があるらしい)。そして点滴の種類によって先生方は直径の違うカテーテル(catheter)を使い分けている。私のカテーテルはコネクター部分が色分けされており、茶色が遠位(distal:より心臓に近い方)で開口している直径の太い14GAへ、白色が近位(proximal)で直径の細い18GAのカテーテルに繋がっているそうだ(※)。

  今日の交換はこの胸から出ているIVHカテーテルの点滴と繋ぐ側の管の部分(20cm位)であった。定期的に交換するそうだ。最初「IVHコネクター交換」と聞いてIVHカテーテル全体を交換するのかと思い緊張していた。しかし胸から血管へ挿入したカテーテル部分は詰まったり外れたりしない限りずっと交換する事なく入れたままだとナースから聞き、少しホッとした。またあんなに痛く辛い思いはしたくない。

  化学療法(chemotherapy)の点滴は昨日で終わったが、抗生剤(antibiotic)の点滴は今日も1日3回、そして15時にまた「痛いですよねぇ、すみませんねぇ」とナースが言いながらしてくれる白血球を増やすノイトロジン(Neutrogin;G-CSF)注射があった。

  指先、舌先しびれる。右耳またボゥーっとすることが多くなり、耳抜きが出来ない。夜になると指先と舌全体のしびれが増してくる。食欲はまだ落ちていない。また、今回の月経量はたいしたことは無いのだが、そのうちでも今日が一番多いかもしれない。通常なら経血量(menstrual blood loss)は減ってくる頃なのだが・・・

  脱毛(alopecia)は、多分今晩で抜けきると思ったのだが、意外と髪の量は多い様で、もう一日はかかりそうである。昨夜同様、指で髪を梳いて抜け毛の始末をする。今日もこんもりと一山出来た。髪が抜けたらどんな気分になるだろうかと不安だったが、個別の部屋に入れてもらっているせいもあるだろうが、意外と冷静に、機械的に髪を梳き取って集めている自分がいるのが不思議な感じである。

※  遠位と近位、カテーテルの直径に出てくる数字等、人によっては読んでいて逆の様に感じる所もあるかもしれないが、この表記に間違いはない。

2007-04-11

2006-04-10 (月) Aコース(1回目)14日目 脱毛が始まる

 今朝から病室で採血を寝て待つ事になった。ナースに採血してもらってから朝食となる。先週金曜日の採血で2度目の気絶をしてしまったので、今後ずっと採血はベッドで待つ様に言われている。なんだか恥ずかしい。それから今日は検尿(urinalysis)があった(結果は異常なしだったとの事)。のど痛はほぼ解消したが、頭痛(headache)がする。この頭痛は厄介で、先週始まって以来、ベッドに起き上がってしばらく何かをしているとひどく痛み出し、すぐに横にならないとどうしようもなく、長い時間起きていられない。日中殆んど何も出来ない。いつまで経っても治らない。いつになったら治るのだろうか、この様に結構長く続くと辛いものである。指先のしびれはごく少々だったが、午後より指先・舌先しびれが少しきつくなり、目がちかちかする(flicker;glitter)。便通なし、昨日もごく少量しか出なかったので、便秘(constipation)が気になる。

 ステロイド(steroid)のデカドロン(Decadron)の4回目の点滴は昼の12時前から約1時間あった。昨夜は深夜2時半のナースの見回りで目が覚めてしまい、余り寝直せず、あきらめて今朝は4時半より起きて少々雑用をしたり横になったりを繰り返していた。これもデカドロンの影響だろうか。これでAコースの治療は全て終わった事になる。但し先生は、「1日3回の抗生剤(antibiotic)の点滴とノイトロジン(Neutrogin;G-CSF)は今後もしばらく続く」事になるという。デカドロンが終わったので明日からまた食欲も落ちるだろうとも言われたので、しっかり食べておく様にした。

 また、4/7(金) 、炎症反応をみるCRP値の上昇で急遽実施された検査の結果は、咽頭スワブ(throat swab):Normal flora(正常値以内)、静脈血(venous blood:CVカテーテルから採ったもの):菌なし、末梢血(peripheral blood:腕から採ったもの):菌なし、という事で一安心。治療で白血球(WBC;white blood cell)減少時に起こる炎症のうちでも心配する程、重篤なものではなかった事がわかった。今日の結果でもCRP値は2.0と下がってきているので抗生剤は効いている、との事。

 15時に2回目のノイトロジン注射があった。これは筋肉注射(筋注:intramuscular injection)なのだが、注射する位置によってかなり痛いものらしい(痛がる患者さんが多いという)。ナースは「痛いですね、すみませんね、もうすぐに終わりますから」というが、今のところ、そんなに痛く感じない? その直後すぐに赤血球(RBC:red blood cell)の輸血(blood transfusion)が始まった。

 ところで土曜日にホットタオルで念入りに身体を拭いたら垢が一杯出てきてしまった。日曜は風呂が無いので月曜日まで待って朝シャワーの予約をナースにお願いした。しかし、白血球数が少ないからと先生からストップがかかった。白血球が200以下というのがどういう状況なのかをまだよく理解していなかった。入院時貰った注意書きによると、500以下で外出禁止、100以下で家族との面会も制限される事があるとあったが、24時間点滴に繋がれた状態ではなくなっていた為、点滴のしていない時で、しんどくない場合はシャワーにかかれると勘違いしてしまっていた。という事で、シャワーは白血球数が増えるまでお預けという事がわかった。ガクッ・・・(この白血球数の基準はあくまでも私が入院した病院でのものある事にご注意願いたい。)

 脱毛(alopecia)が始まりかけているみたいだ。否、始まったらしい。ちょっと恥ずかしい話だが、朝トイレに行った時、下の方の毛がパラパラッとやたら抜けて「あれ?」と思ったのだが、頭髪をといてゴムで束ねようとしたら抜け毛が多くなっているので脱毛に気がついた。夜中になって指で髪を挟む様にして梳(す)きながら抜け毛の始末をする。全部抜けるわけではなさそうで、こんもりと一山、抜け毛の山が出来、ゴミ箱に捨てるのもなんだか抵抗があったので紙袋にまとめて入れておく事にした。

 現在の私のノートパソコンからは、メールは送れないし、インターネットに接続も出来ない環境なのだが、何故か時々メールチェックをするとメールの受信が出来てしまう時がある。その事を知っている両姉より励ましのメールあり、嬉しい。

【血液検査結果】
WBC(白血球数)200 [/μl]、HGB(ヘモグロビン) 6.3 [g/dl]、PLT(血小板数) 47,000 [/μl]、網赤血球数(reticulocyte) 0.5[プロミレン]、リンパ球 98.0%、単球 (Monocyte) 1.0%
GPT 33[IU/l]、γ-GTP 156 [IU/l]、尿酸(UA) 2.2[mg/dl]、クレアチニンキナーゼ(CK) 26[IU/l]、CRP(炎症反応) 2.0[mg/dl]

2007-04-10

2006-04-09(日) Aコース(1回目)13日目 ノイトロジン(G-CSF)開始

 抗生剤(antibiotic)が効いてきたのだろうか? のど痛はほぼ解消した。今日は3食しっかり食べることが出来た。多分体重((body) weight)減少も止まった様に思う。この抗生剤の点滴は今日も1日3回ある。指先のしびれはごく少々、頭痛(headache)も少々あり。また、昨日夕刻から始まった月経(menstruation;menses)の経血量(menstrual blood loss)は非常に少ない。いつもなら最初の1、2日目は量が多いのだが・・・やはり、通常とは違う状態になってきているのだと実感する。一日のかなりを寝て過ごす。また今晩より、ミコシストカプセル[100mg](防カビ剤)の服用再開となる。

 ステロイド(steroid)のデカドロン(Decadron)点滴は今日も11時頃から約1時間ある。デカドロンは今回の治療ではB cells(B細胞)にアポトーシス(Apoptosis:細胞自滅)を起こさせているのだという。イメージが沸かないのでその機構はよく理解出来なかったが、私の病気はB細胞の急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia;ALL)と聞いていたので、アポトーシス(※)という、身体に負担の無い、炎症を起こさない様な形で、病気になってしまったB細胞(bone marrow derived cell:Bリンパ球,Bセル;B lymphocyte)を除去しているのだろう、と想像している。どうなのだろうか?

 今日から白血球(WBC;white blood cell)を増やす注射ノイトロジン(Neutrogin)(第1回目)を開始するという。ノイトロジン、又はG-CSFと言う時もあった。白血球のうちでも好中球(Neutrophil)を増やす注射で、赤血球(RBC:red blood cell)や血小板(PLT:platelet)を増やす事は無いと説明してもらう。化学療法(chemotherapy)では病気の白血球、即ち白血病細胞(leukemia cell)を殺す為、残っている正常な血球も一緒に殺してゆき、白血球(WBC;white blood cell)数がほぼ最低になる頃にこのノイトロジン(G-CSF)を注射し始め(毎日注射するという)、病気の白血病細胞が再び増えてくる前に、正常な白血球をいち早く増やす手助けをするのだそうだ。こうして増やした白血球の中に、入院時よりははるかに少なくなっただろうが、白血病細胞がまだ残存している事が考えられる為、ある程度増えたら、次の化学療法に入り、再度血球を殺す抗癌剤治療をし、同様に白血球数がゼロに近づいたらノイトロジン(G-CSF)の注射を開始する、という繰り返しになるそうだ。この繰り返しで最終的に白血病細胞を限りなくゼロにするのがこの化学療法の第一の目標である。と、こんな感じに先生の説明を理解したのだが、あっているかなぁ。

 幼馴染のYちゃんが来てくれる。昨日電話で口喧嘩してしまった母からの手紙をことづかってきたという。素直な気持ちになれず、また口論になったりする方が治療の妨げになると思い、読まずにテーブルの上にしばらくそのまま置いておく事にした。

※ アポトーシスとは、オタマジャクシがカエルになる時、尻尾が消えて無くなる現象に例えられる事が多いが、炎症を起こしてしまう壊死という形ではなく、細胞が自ら死んで不要になった部分を取り除く現象といったら分かってもらえるだろうか。

2007-04-09

2006-04-08(土) Aコース(1回目)12日目

 CRP(C-反応性蛋白:C-reactive protein)値が高かった(炎症反応があった)為、昨日から急遽始まった抗生剤(antibiotic)の点滴は、時間は少々前後したが9時、15時、22時の1日3回。昼前には化学療法(chemotherapy)12日目のプログラム、ステロイド(steroid)のデカドロン(Decadron)の点滴、約一時間。今日の点滴予定はこれだけだが、抗生剤の点滴が面倒だ。6時間おきにあり、その度に点滴棒に繋がれる拘束感がある。この抗生剤さえなければ今日はデカドロンだけでおしまいなのだが。

 のどの痛みはかなり少なくなる。また、指先や舌先のしびれ(numbness)も少なくなる。これは抗生剤の点滴のせいかと思っていたが、ステロイド(デカドロン)のせいだという。ステロイドはこんな症状を隠してしまう所があるので注意する必要があるのだとか。先生方によるとデカドロン(ステロイド)副作用に不眠症(sleeplessness)や躁鬱(manic depression)があるそうで、その為に昨夜よく眠れなかったのではといわれる。そういえば入院当初の3/28-3/31もデカドロンの点滴があったが、この間不眠傾向だった。環境が変わっただけではなかったらしい。その他にも“多幸感”というのもあるという。そのせいか、一日気分がよい。デカドロンの点滴は月曜日迄だが、それが終わると火曜からまたグッタリしてしまうのだろうか? とにかく調子が良いので事務や手紙の下書き等、色々仕事をする。

 あるかどうかと気にしていたら、いつもより早く月経(menstruation;menses)が始まってしまった。通常は4~5週間であるのだが、前回は緊急入院直前にあった。入院して血球を殺す化学療法をしている最中で、血もしょっちゅう抜かれて検査されるし、輸血もしたり等していて、果たして次はちゃんとあるのかどうか、またあったとして、月経の間、治療以外にも経血で血が失われる訳である。大丈夫なのだろうかと心配していた。先生に聞いてみると、あっても心配はないが、人によっては化学療法の治療で止まってしまう人や、逆に薬で月経を止めてしまう場合もあるという。いつもと違う異常があれば報告して欲しい、との事だった。

 夜、母より電話あり。母は最終的には私が本当の事を母に言わなかった(再生不良性貧血(hypoplastic anemia)だと告げて入院した)事を恨んでいるというので、口論になってしまった。何の為に私は苦しんで気を遣ったのか、まるでこの努力は無駄だったという事になり、悲しいだけの最悪の気分になってしまった。母が多発性脳梗塞脳梗塞(cerebral infarction)でなければ、元気な頃の母ならば、医学的知識も豊富でいつも的確に診断してくれていた母に、真っ先に相談したかったし、そうでなくても母に相談して病気の事を一杯聞きたかった。裏目に出たのが悲しくさびしい。

2007-04-08

2006-04-07(金) Aコース(1回目)11日目

 今朝は朝一番で咽頭スワブ(throat swab:咽頭ぬぐい液)というのがあった。のどの痛みは唾を飲み込むのもつらくなってきている。そこでのどに細菌がいないか調べる為、長い綿棒でのどの奥の粘膜をこすり取って検査するものらしい。その他の症状としては頭痛(headache)、37.4℃の微熱、指先がしびれ(numbness)。昼過ぎになるとしびれがきつくなってきた気がする。唇や舌先もしびれている感じがする。抗癌剤(anti-tumor agent)のオンコビンの副作用か。

 採血のたびにナースが来てくれるのも悪いと思い、今朝は自分からナース詰め所の一角にある処置室へ行く。今日は4本だという。血を見ない様に、リラックスする様にと気をつけていた。しかし、入院以来、検査と言っては血をしょっちゅう採られるし、やれ骨髄穿刺(マルク:Mark;bone marrow puncture)だ、CVカテーテル(catheter)挿入だ、昨日も(2度目の)ルンバール(Lumbal:腰椎穿刺)だと針を刺されて痛い事ばかり・・・嫌だなぁ~という思いがよぎったら、また気が遠くなって目の前が真っ暗になり、ふぅっとぶっ倒れてしまった。またまたナースがわらわらと寄ってきて車椅子に乗せられ、どこかで名前を呼ぶ声がし、また気が遠くなり、引きずり込まれる様にして部屋に運ばれ、ベッドにどうやって戻ったか、映像が途切れ途切れ、足を高くしてとか、遠くで私の名を呼びかける声が聞こえたり、心電図(electrocardiogram;ECG)だ・血圧(blood pressure;BP)だと大騒ぎになった。

 夕刻TS先生来て曰く、私が2度も採血でぶっ倒れてしまったので、今後採血は病室までナースに来てもらうことにしたという。朝の採血時は寝て待っている様に言われた。なんとも面目ない気分だが、ぶっ倒れて迷惑かけるよりはここは甘えた方が良いのだろう、と思う。

 各先生方は日に1~2回、ばらばらで診に来てくれる。特に、えらくべっぴんさんの女性研修医のKN先生は一日に2~3回は様子を診に来てくれ、血液検査の結果を患者に報告する係らしく、結果表を持って説明して行ってくれる。採血の結果、血小板(PLT:platelet)が低かったので今日輸血(blood transfusion)するという。また、炎症(inflammation)が身体のどこかで起こると顕著に上昇するCRPという値が6.9と高かった(0.2以下が正常値)為、抗生剤(antibiotic)の点滴も開始するという。その為の血液検査が必要といわれ、更に2本も採血されてしまった!! 感染(infection)を起こしている時CRPが高値になるが、この時、血液にも菌がいないかを調べるらしい。1本は腕から末梢血(peripheral blood)として通常の採血同様注射針を使って採られ、もう1本は、いつもは点滴液を入れているCVカテーテルから静脈血(venous blood)として採血された。しかもカテーテル(血管に挿入されている管)内は普段使用してない時はカテーテル内の液が凝固しない様にとヘパリンナトリウム(Heparin Na )という液で満たされているので、体内から純粋に静脈血だけを採取する為には先ず静脈血がカテーテルを通って注射器に達するまで十分に引き、これはヘパリンと血液の混じった液として廃棄する。次に改めて新しい注射器に替え、静脈血を採取する、という方法であった。カテーテルからの採血の唯一の利点は、ロスは多いが針を刺されることが無いので痛くない点だろう。今日は血に祟られている気がする。

 この採血の後、11時半よりKN先生が抗癌剤(anti-tumor agent)のオンコビン(Oncovin)を胸のCVカテーテルから注入し、ステロイド(steroid)のデカドロン(Decadron)の点滴(一時間)を繋いで行かれた。今朝はおかずのみ食べたが、今日の抗癌剤でまた食欲が落ちるかもしれないと思い、昼と夜は極力食べる様に頑張った。

 午後一番で第一回目抗生剤の点滴(1時間)が開始され、終了すると次は血小板の輸血をしてもらいながら、ナースに洗髪をしてもらう。脱毛はまだ始まっていない様だ。22時からは本日2回目の抗生剤点滴が開始された。この抗生剤はペントシリン(Pentcillin)&タゾシン(Tazocin)で、明日からは1日3回点滴していくらしい。この抗生剤が効いたのかどうかは分からないが、夜、のど痛や微熱が軽減した。

 ナースからの話で、部屋を4人部屋へ移動させられるかもという話がナースから出た。ショック!!よりによって髪の毛が抜ける頃に戻らねばならないのか。。。夜よく眠れず。2時間ほど眠ったか、しかしまた眠れなくなったので、寝るのをあきらめ、起きてパソコンで調べ物等をする。


【血液検査結果】
WBC(白血球数)200 [/μl]、HGB(ヘモグロビン) 7.4 [g/dl]、PLT(血小板数)18,000 [/μl]、好中球(Neutrophil) 2.0%、芽球(Blast) 1.0%、リンパ球 95.0%、好酸球(Eosinophil) %、骨髄球(Myelocyte) 1.0%
LDH 218[IU/l](基準値内になる)、γ-GTP 164 [IU/l]、CRP(炎症反応) 6.9[mg/dl]

2006-04-06(木) Aコース(1回目)10日目

 今朝も右耳がボゥーっとして少しおかしい。耳抜きができると頭痛(headache)になった。のどは昨日よりずいぶん痛い。先生に言うと、ボルタレン含嗽水(がんそうすい;含漱水;gargle:うがい薬)を処方してくれる。痛み止めのボルタレンが入っていて、使用時によく振ってからうがいするものだそうだ。この痛みがひくのかと期待して使ってみたが、余り痛みがひいた様には感じなかった。少しは効いていると信じたいが・・・今日は化学療法(chemotherapy)はお休み、明日から4日間、また点滴治療が始まる。ミコシストカプセル[100mg](防カビ剤)の服用を今日(4/06)から3日間(4/08まで)、再度中止する様にTS先生から指示がある。明日、抗癌剤(anti-tumor agent)オンコビンの2度目の投与があり、それとの副作用を避ける為である。

 11時頃長姉と次姉見舞いに来てくれるが頭痛がひどくすぐ横になる。昨日一家で来た長姉は家族に桜見物などをさせた後、一緒に東京へ帰るという。そしてその帰りの電車の中で家族のみんなに私の病名を知らせると話した。姉二人は、私がいずれ受けるであろう骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)で骨髄の型(組織適合抗原;Human Leucocyte Antigen;HLA)が合うかどうかを調べるHLA検査を受けにきた。検査自体は保険がきかないそうで、一人28,035円かかったという。この検査で骨髄穿刺(マルク:Mark;bone marrow puncture)をされるのか、骨髄を採って調べるのかと心配していたが、採血だけですぐに終わり、検査結果は出るのに1週間程かかるそうだ。姉妹なので完全一致する確率は四分の一、一致しなければ骨髄バンクで探す事になる。合ってくれる事を祈ります。両姉に感謝。とにかく頭痛がひどく一日寝て過ごす。

 夜、母より電話があった。私の病気の事から、気分的に今日ようやく立ち直れたと言ったのを聞き、ホッとした。私も母に、留学したと思って、しばらく会えないけど電話では話せるからと話す。私が入院する前の母は、身体の具合もかなり悪くなり、要介護3となってからは、可能な限りヘルパーさんに来てもらう様にしていた。母は多発性脳梗塞(cerebral infarction)と診断され、小さな梗塞を繰り返しているらしく、徐々に身体機能が弱ってきていた。それでも毎週末、私が帰ってくるのを気遣い、一人で大丈夫だからといっていたが、この頃は私と一緒に週末(金曜の夜から月曜の朝迄)を過ごすのを楽しみにしてくれていたのが嬉しかった。一番長く母と共に過ごしてきたので、母がヘルパーさんだけでは頼みきれない事とかして欲しい事とかがなんとなく分かる。疲れたといって何もしない時もあったが、私も母に会うのが楽しみであった。知識豊富で話をしても面白いし、一緒に酒盛りするのが何よりもの楽しみで、一番の憩いであった。今、何も母にしてあげられないのが辛い。自分の口から病名を言おうかと思い直した時もあったが、私の病気を知ってショックでまた脳梗塞を起こすのではないか、更に運動機能が悪くなるのではないかと不安で、また相談した長姉からは、私の口から打ち明けるのはショックがきつ過ぎると待ったをかけられた為、話せなかった。ワンクッション置いて長姉から私の緊急入院した日(3月27日)に母へ告げられたが、『私の口から話さなくてこれで良かったんだ』と自分にも言い聞かせる。

2006-04-05(水) 契約更新

 長姉は消灯前(私が一人部屋へ移ったからこそ可能だったと思う)に見舞いに来てくれた時、この2日ほど私の職場のボスとメールをやり取りしたと言って、そのメールを見せてくれる。ボスは病気欠勤中の扱いと健康組合からの傷病手当支給について、社会保険料について等、詳しく調べて下さり、私がいつでも復帰出来るように契約更新を続けてくれるとの内容であった。長姉のメール、ボスのメール、どちらもありがたく涙が出る。入院中せめてパソコンワークで仕事が出来ないかとお願いしていたが、それが励みになるのなら無理のない程度で、またノートパソコンもウィルスと情報漏洩チェックがしっかりしていれば病院持ち込みもかまわないとの事。実際に仕事(パソコンワーク)が出来るかどうかは自分でも未知数。入院当初は気が立っていたから出来る気がしていたが、むかつきや今日みたいにひどい頭痛、その他何が起こるか分からない状態で不安になってきていたところだったので、無理しなくてよい旨のセリフも嬉しかった。なんだか焦っている自分をどこかに感じる。

2007-04-07

2006-04-05(水) Aコース(1回目)9日目 二度目のルンバール

 今朝も部屋までナースがわざわざ採血に来てくれた。体重((body) weight)を量りに行くと入院時より2キロ以上も減っていた。私はどちらかというと普通か痩せ型で、まぶたは、はれぼったい一重なのだが、鏡を見てみると上まぶたが痩せたのか二重まぶたになりかけていて驚いてしまった。食欲不振、嚥下(deglutition)苦痛をおして無理にでも食べる様に努力していたのに、もう少し頑張って食べねば、これ以上体重を落とすわけにはいかない、と思った。

 右眼の古傷が久々に痛む。6年以上前、ちょっとした事故で眼球の白目部分を傷つけて以来、非常に疲れたりすると右眼がヒリヒリと痛み涙がボロボロと出たりするので診て貰うと、上皮糜爛(びらん;erosion:侵蝕,ただれ)と診断され、その後は先生から処方される目薬と軟膏薬を塗ってKF医大に定期的に眼の診察を受けに行っていた。半年間何も起こらなければそこで完治とすると言われていたのだが、なかなかそううまくいかない。緊急入院以降、目薬と塗り薬を中止していたが、先生に再開してよいか聞いてみて、治療には差し支えないので自己管理でお願いするとの事。

 午前10時頃まで、TS先生に始まり、TNB先生、KN先生、毎週水曜日午前にある教授回診で先生の一団が来、その後にKB先生が来られた。私担当の4人の先生方は今回も教授回診の一団に一人も混じっていないのが不思議でならなかった。それに引き続き10時半からルンバール(Lumbal:腰椎穿刺)があります、とナースが病室のベッドに防水紙を敷く等のセッティングをしていかれ、また3月30日の時の様に腰に針を立てられるのかと、緊張しながら待っていた。

 遅れに遅れてようやく11時40分頃から、今週から担当になったTNB先生によってルンバールされる事になった。待ちくたびれ緊張し過ぎたせいか、既にかなりクッタリしてしまった。麻酔(anesthesia)注射の痛さ、針で穿刺(paracentesis;puncture)される感覚の気持ち悪さは変わりなかったが、今回も前回と同じ抗癌剤等(メソトレキセート、キロサイド、ブレドニン)を髄注されたのだが、注入される時、前回の時の様な変な胸の圧迫感みたいな感覚は無かった。とにかく「丸くなって、丸くなって」といわれ、ぎゅっとひざを抱え込んで必死に丸くなり、更に疲労が増した。今回も枕を外して約1時間半強、仰向け安静(rest)になる様に言われ、じっとしているのがかなり辛かった。

 夕方に今日の結果を教えてもらったが、今回も髄液に悪い細胞は検出されなかったとの事で一安心。そこで先生に訊いてみた。初回ルンバールの時、取り敢えずは目視で髄液を見て透明なら先ず良しとし(悪い細胞がいないと判断し)、次に顕微鏡検査で確認などをすると聞いたが、髄液を採って、明らかに濁っている事もあるのかどうか、と。するとそういう場合があるらしく、濁っている場合は悪い細胞がある為と考えてよいそうで、向こうが見えない位に濁っている人もいるそうだ。私の場合、もしかすると前回の初回ルンバール時、髄液が濁っているのではとかなり心配されたそうだ。

 夕食後も4人の先生が入れ替わり立ち代わり診に来られた。のどの痛み、舌のしびれ(numbness)は昨日同様で、午後より頭痛(headache)少々、また、耳の空気抜きが出来ず、右耳ボゥーっとしたまま(耳鳴り;ear noises;tinnitus;ear ringing)。KB先生から2~3日前から指摘があったが、確かにトイレとかにちょっと行っただけで割合息が上がっている。昨日の赤血球(RBC:red blood cell)の輸血(blood transfusion)で少しはマシになったか。血小板(PLT:platelet)はずい分早く減少してくる。白血球(WBC;white blood cell)は200をきった。

 長姉が関東から娘(姪に当たる)2人と義兄の母親と姉を連れて母の見舞いと観光にやってきた。これは私の病気が分かる直前に来ると予定していた件で、宿の予約も私がとっていた。長姉は21時前会いに来てくれた(面会時間はとうに終わっていたが親族なのだからといって色々差し入れを持ってきてくれた)。母は久々に孫2人と姉の婚家先の家族に会って、少し元気だった等、色々お話ししていってくれ、久々に楽しかったが、頭痛の為、少し疲れた。夜中に耳鳴りが解消すると同時に軽い頭痛が起こる。なかなか寝付かれず、午前3時半になっていた。横になると頭痛でしんどい。

【血液検査結果】
WBC(白血球数)200 [/μl]、HGB(ヘモグロビン) 9.0 [g/dl]、PLT(血小板数)44,000 [/μl]、好中球(Neutrophil) 1.0%、芽球(Blast) 1.0%、リンパ球 98.0%、LDH 337[IU/l]

2006-04-04(火) Aコース(1回目)8日目

 朝の検温(6時頃)の時、ナースがよく眠れるかと聞いてきたので、慣れないベッドで、また椎間板ヘルニア(disk herniation)が痛くなってきた様だと答えると、低反発クッションがあるので試してみたら、といって、午後にベッドマットに敷いてくれる事になった。自宅では柔らかいベッドに寝ていたので、これで少しは柔らかくなるかと期待する。母は都合あちこちに入院したが、「脊柱管狭窄(spinal canal stenosis)等で腰を痛めているのでもう少し柔らかいベッドマットを」と何度お願いしても、色々と事情があるらしく、応じて貰えた記憶が無かった。それを体験してきた為、頼んでも難しいだろうと思い込んでいて何もお願いはしていなかったので、嬉しい。

 のどがかなり痛い。食欲としてはまだ食べられる感じだが、舌のしびれ(numbness)、特に舌の奥のしびれがきつく、嚥下(deglutition)するのが苦痛である。それからここ数日、唇の皮が毎日むけ続けており、口の中の薄皮もむけ続けている、舌の表面の皮もむけているのではないかという感じである。食事は昨日、白血球(WBC;white blood cell)数が400になったので、『化療後食』というものに変わった。

 今日も化学療法(chemotherapy)は中休みで何も無いが、午前中はKB先生、TS先生、TNB先生、KN先生と入れ替わり立ちかわり診に来られた。先生間でどの様に患者の様子の申し送りをしているのかよく知らないが、今朝の具合等を来る先生ごとに聞かれるので、その都度、改めて一から同じ事を繰り返して話さなければならず、なんだかわずらわしい気がする。明日はまたルンバール(Lumbal:腰椎穿刺)がある、との事。憂鬱である。

2007-04-06

2006-04-03(月) Aコース(1回目)7日目

 のどがだんだん痛くなってきた。舌にしびれが出てきており、食物を嚥下(deglutition《飲込み;swallowing》)するのが苦痛になっている。舌が自分のものでない様な違和感がある。今朝は採血でまたぶっ倒れたらいけない、という事で病室までナースが来てくれた。

 今日も化学療法(chemotherapy)はひと休みで点滴は無い日である。ただ貧血気味という事で午後から赤血球(RBC:red blood cell)の輸血(blood transfusion)があった。白血球(WBC;white blood cell)は400個になった(500個以下になった)ので、非常に感染しやすくなったと考えて、トイレに行く時などを除いて出来るだけ病室を出ない様にして下さい、という事になった。

 それと、初めてみる2人の先生を連れてこられた担当医のTS先生が「今月中旬位で私はあなたの担当を離れます。次から担当して下さるのがTNB先生(男性)とKN先生(若い女性)です」と引き合わせられた。しばらくはこの3人に主治医のKB先生の4人体制で診察に当たるそうだ。TS先生は4月からここの大学病院の大学院へ進学される為、現場を離れると言うことだったが、ようやく化学療法も入院生活も慣れてきた所なのに、先生が変わってしまうと聞き、少し不安にショックが混じる。

 午前に職場のボスに電話をし、とりあえず年休のお願いをし、緊急入院する事になった経緯を話し、詳細はメールでお伝えしたいと話す。どうしようもなかったとはいえ、急に仕事が出来なくなってしまい申し訳ない気分で一杯だった。インターネットやEメール等通信手段はまだないが、幼なじみのYちゃんにメモリスティックに記録したものを送信してもらえないかと昨日お願いしていたので、午後に来てくれた時にボス宛のメール文を託した。

【血液検査結果】
WBC(白血球数)400 [/μl]、HGB(ヘモグロビン) 6.9 [g/dl]、PLT(血小板数)69,000 [/μl]、好中球(Neutrophil) 6%、芽球(Blast) 1.0%、リンパ球 93.0%.
LDH 525 [IU/l]、γ-GTP 162 [IU/l] 、CRP(炎症反応) 0.1[mg/dl]

2006-04-02(日) Aコース(1回目)6日目

 今朝は頭痛(headache)、むかつき少々あり。朝食前の採血があり看護師詰め所の処置室へ行く。通常採血は月・水・金なのだが、輸血(blood transfusion)が必要かどうかを調べる為だという。入院以来、針を刺されて血ばっかり採られ痛い等のストレスからか、ナースに針を刺されてしばらくして、気が遠くなり、ついにぶっ倒れてしまった。どこか遠くで名前を呼ばれる声が聞こえつつ何人かのナースがきて車椅子に乗せられ病室へ(ほとんど引きずり込まれる様に)運ばれた。くらくらする。しばらく足を高くして休む。今日は抗癌剤治療が無いので、その点は気が楽である。

 朝食は食欲が無く食べるのが辛い。ほおや手足の皮膚、自分の舌が麻酔(anesthesia)でもかけられたかの様な、まるで自分のものでない感覚になり、物の味などよく分からなくなってきた。抗癌剤(anti-tumor agent)の副作用の一つであろうか。飲み込むのも違和感がある感じである。ミカンだけかろうじて味が分かりおいしく感じられた。昼食も食べるのが苦痛。夕食も何とかおかずだけ食べた。むかつき、食欲も全くない時に無理に食べるのがこんなに辛いとは・・・

 血液検査の結果は白血球(WBC;white blood cell)が1,000個に減り、赤血球(RBC:red blood cell)も血小板(PLT:platelet)も輸血するレベルまで減っているということで、今日は血小板を輸血される。輸血時は必ず先生がつなぎに来られるが、血小板輸血ではかゆくなったりしたらすぐに知らせて下さい、と声をかけられる。前回かゆい症状が出なくても次は出る時もあるそうだ。また、症状の出る人でひどい場合は全身にぶつぶつが出たりしてアレルギー様反応を示す為、すぐにそれを抑える注射をするそうだ。紫外線アレルギー(UV allergy)があり、肌も弱い方だが、この血小板輸血で今の所そういう症状が出ないので、助かった。

 今日は次姉が見舞いに来てくれたので、自宅へ行って母のパソコンを借りてきてもらう。私が4人部屋で隣りの人のいびきで眠れない話を覚えていてくれて耳栓をプレゼントしてくれた。4人部屋の眺めは素晴らしくよかった。今回の2人部屋(事実上一人で使わせてもらっている)は病棟の建物の狭間で眺めは空が少しと建物しか見えないが、気分的には少しリラックスできる。一人でいるので携帯電話を病室で使える様になったのが便利だった。

 夜、長姉に電話して、職場のボスに病気で緊急入院になってしまった事をどう伝えるかを相談した。姉はとりあえず電話で年休を告げ、詳細はメールでお知らせするという形でワンクッションおけ、とのアドヴァイスであった。その後、持ってきてもらったノートパソコンでボスへの報告メール下書き作成。何か残せる仕事はないか、ここで出来る仕事はないかと色々考えてしまう。

 今晩より、ミコシストカプセル[100mg](防カビ剤)の服用再開。

【血液検査結果】
WBC(白血球数)1,000 [/μl]、HGB(ヘモグロビン) 6.4 [g/dl]、PLT(血小板数)19,000 [/μl]. 
LDH 772 [IU/l]、CRP(炎症反応)0.1> [mg/dl]

2007-04-05

2006-04-01(土) Aコース(1回目)5日目

 今朝はしんどい。朝食は和食ではなくパン食をお願いしており、月・水・金は白の食パンが2枚、透明な袋に包装されて出てくる。こう言っては何だが、とてもおいしくない。火・木・土・日は日替わりの菓子パンなどが2個、個別に包装されて出る。こちらは食パンよりはまだ食べられる。朝食はもともとそんなに食べる方ではないので、日替わりパンを毎日一個、残る一個は翌日の朝食に回し、もったいないとは思ったが、食パンは食べずに返した。その他、バターまたはジャムにサラダとパック入り牛乳、果物が出た。同室の患者さんはそれ以外に棒ウィンナーとかプロセスチーズを食べる人、その他おかずを食べる人など、自由であった。今日は部屋を移動して一人になって初めての朝食。少しむかつくのでバナナとサラダのみで朝食を済ませる。

 私は毎日便通のあるタイプなのだが、入院以来共同トイレに点滴につながれての蓄尿、尿計測等、非日常を繰り返しているせいか、便秘(constipation;obstipation)気味になり、入院3日目に軽い下痢(diarrhea)を飲み、その後、少々あったのだが、その時、少し肛門(anus)付近が切れたらしく、ちょっと痛かった。今朝、ようやくしっかりとした量の便通があったのでホッとしている。

 午前中、いつもの様にKB先生の回診(round)があった。ここ数日色々と本や手帳の記録を調べたりして分からない事等を質問した。白血病(leukemia)で、慢性 (chronic)も急性(acute)も難儀な病気である事は変わらなかったが、改めてどう違うのかを聞いてみた。慢性と急性とでは遺伝子的に全く違うもので診断に間違え様がないらしい。丁度半年ほど前に『胸苦しい』と手帳に記録しているが、その頃から発症していた可能性はあるのか、と聞いてみたが、急性か慢性かという事実は変え様が無いらしい。

 治療開始後、ホットタオルで体清拭をしているだけだったので、看護師さんに頼み洗髪をしてもらう。共同の洗面所と洗濯場の片隅に洗髪所があり、美容院での様な背中が倒れる椅子に乗り、看護師さんが丁寧に洗ってくれ、ドライヤーまでしてくれた。まだ脱毛は始まっていないみたいだ。

 昼食もむかつき、食欲無し。午後の水分(ソルデム、メイロン)の点滴も始まる。この点滴が5~6時間で終わったら、Aコースはしばし中休みで点滴がなくなる。また、尿計測も今晩12時までで終了になる。バンザイ。

 夕食時は食欲が全くわかなくなった。というより、食べるのが苦痛になってきた。しかし、食べておかないと病気に勝てないと思い、無理やりおかずのみ口に詰め込むが、全身“さぶいぼ”が出るほどつらい。夜、母や友人より電話がある。気がまぎれてうれしい。

2007-04-04

★☆★治療時の食事制限★☆★(入院生活2)

 『治療時の感染予防の心得』(入院生活1)に続いて、私が白血病(leukemia)で入院した血液腫瘍内科が作成した「感染予防のために」という冊子を参考に、食事制限がどんなものなのかの注意事項をまとめてみたい。

 身体の抵抗力が低下している時に、生ものや十分に加熱されていないもの等を食べると、下痢(diarrhea)等を起こす事がある。

 私の場合、化学療法(chemotherapy)を受けた後の病院食(hospital food;hospital diet)は『化療後食』というものになっていた。これは普通食と大きくは変わらない様に思えたが、牛乳はビンではなくパック式だとか、微妙に違いがあるみたいだ(周りに普通食の人がいなかったので、ハッキリとした違いは知らない)。

 好中球(Neutrophil)数が200個以下になると『化療後食』から『加熱食』に変わる。『加熱食』とは、加熱調理された食事に、落下菌を防ぐ為のラップがかかっている。配膳直後はそのまま食べてよいが、冷めてから食べる場合は電子レンジで2分ほど加熱(加熱による殺菌効果がある)してから食べる様にする、とある。 ※ちなみに、『加熱食』になると朝食のサラダはゆで野菜(加熱野菜)に、くだものはパック入りの果物ジュースに変わった。ご飯はラップをして加熱2分、おかずも執拗に加熱されている様で、申し訳ないが、お世辞にもとてもおいしいとは言えない病院食が更にかなり食べにくい物になったものも多かった。

 食欲がない、病院食が食べづらい時は他のものを食べてもよいが、生ものを避け加熱調理したものにする。市販の食品は殺菌処理されているか表示を確認する。治療上制限がある食品もあるので、その都度ナースなどに確認を取るようにする、とある。 ※実際、病院食には手をつけず、カップメンやレトルト食品・缶詰等で済ます人もいるらしい。

 箸・箸箱・コップ・スプーン等の食器は、使用後すぐにきれいに洗い、乾燥させる。 ※先輩患者さんに教えてもらった方法は、部屋にある洗面台にある手洗い用の液体石鹸で洗い、よくすすいだ後はすぐに備え付けのペーパータオルで食器の水分をふき取ってしまう。乾くまでに空中を浮遊するほこりや細菌がくっ付いてしまう等の危険を防ぐ為、使い捨ての紙でさっさと拭いてしまうのである。コップは何かフタが出来るものがよいだろう。

【食べていいもの・ダメなもの・調理の注意点】
主食:
・ 生ものは厳禁、握りずし・巻寿司は避ける。ちらし寿司も生の具は除き、電子レンジで2分加熱してから食べる。
・ 未開封の市販のパンはよいがサンドイッチ・惣菜パン・生クリーム入りパンは避ける。バターを使う場合は、塗ってトーストしてから食べる。
・ 麺類では具は加熱し、ネギも加熱する。月見うどん・山掛けそば等は避ける。

副食:
・ 肉・魚介類は刺身、レア(生焼けや半なま)では食べない様にする。加熱調理後密封したハム・練り製品は、開封直後はそのまま食べてもいいが、時間が経過したものは過熱してから食べる様にする。
・ 生卵・温泉卵・半熟は避ける。
・ 野菜は十分に洗い、サラダにするならすぐに食べる。トマトは傷の無い新鮮なものなら湯むきすればそのまま食べてよい。好中球数が500以下になったら生野菜は避け、加熱してから食べる。 ※外出等で外食する時はファミレスのサラダバーなど次々に野菜が継ぎ足される様なサラダはどこまでが作ったばかりなのか鮮度がハッキリしないので避ける様に教えられた。
・ くだものでは、缶詰はよい。新鮮で傷の無い・皮の厚いくだものなら十分に洗い、皮を厚くむけば食べられる。食べられるものはりんご・みかん・バナナ・スイカ・メロン等。食べられないものはイチゴ・桃・ぶどう等、ドライフルーツは避けた方がよいらしい。 ※但し、スイカ・メロン等は丸のままを買ってきて、その切り立てなら食べてよく、残った分は食べない様にする、と言われた。また、好中球数等により、食べても良いものと避けた方が良いものが微妙に変わり、いつでも絶対ダメというわけではなさそうなので、その都度、担当医等に直接聞くのがベスト。
・ 乳製品では、先ず牛乳はパック入りが望ましい。一度開封後に残ったものは避ける。プロセスチーズは食べてもよいが、そうでないナチュラルチーズは避ける。生クリーム製品も避ける。市販のヨーグルト(低音殺菌されている)は食べられるが、これも開封後に残ったものは食べないようにする。※ビフィズス菌・乳酸菌は避けるとあるが、これも微妙なので、担当医等に聞くのがよいと思う。
・ お菓子は、手作りや・個別包装されずにショーケースでばら売りされているものは避ける。生菓子も避ける。生クリーム物も避ける。袋詰めされた焼き菓子は食べられるが開封後時間経過したものは避ける。食べられるものはクッキー・せんべい・スナック菓子・カステラ・チョコレート・飴・ガム等で、食べられないものとしてはショートケーキ、シュークリームなどがあげられている。アイスクリーム・プリン・ゼリーなどは密閉容器に入った市販品は食べてもよいが、手作りは避ける(例えばハーゲンダッツのカップは密封されているのでよいが、ソフトクリームはダメ)。和菓子は電子レンジで加熱すれば食べられるとある。試した事はないが、どんな事になるだろうか、ものによっては興味深い。
・ 飲料関係では、水道水は湯冷ましにすれば飲める。市販のミネラルウォーターは輸入―品は滅菌工程がハッキリしないため避ける。缶・ペットボトルのお茶やジュースは加熱殺菌されているので飲めるが、缶飲料は飲み口部分を先に水洗いしてから開栓する様にし、缶・ペットボトル共に、必ずコップに移して飲み、時間が経ったものは避ける。また炭酸飲料は胃を荒らす可能性がある為、避けると書いてあった。  ※ミネラルウォーターは日本製のものは滅菌の点は安全だから何でも良いとの事だった。日本製でフィルターろ過式のがあったので聞いてみたが、それに関して確答は得られなかったが、飲んでも大丈夫であった。

その他:
・ 調理済みの冷凍食品・レトルト食品(boil-in-the-bag food)・インスタント食品(instant food;convenience [precooked, fast] food(s))・缶詰(《米》canned〔《英》tinned〕food)は食べられる。
・ 梅干(Pickled plums;pickled ume)は食べられるが、減塩梅干は避ける。
・ 味噌汁(miso soup;Bean-soup)は食べられるが、生味噌類は避ける。
・ 豆腐(tofu;bean curd)は冷奴にする場合も、一度加熱する。
・ 漬物(Pickles;pickled vegetables;salted vegetables)は発酵させたもの・浅漬け以外の市販のものは食べられる。
・ 蜂蜜(honey)は避ける。
・ 調味料は一回使いきりのパック入りのものにする。

以上、初めてこれを読んだ時、細か過ぎて気が遠くなったが、基本は、病院食ならすぐ食べればよい。生ものはダメ、蜂蜜もダメ、また開封後時間が経ったものもダメ、加熱すれば大丈夫と考えた。また極端に栄養が偏らないのならば、病院食を食べずにお菓子や果物、冷凍食品・レトルト・インスタントラーメン等ばかり食べていても怒られないのではないだろうかと思われる節があった(あくまでもイメージですが)。きっと、化学療法で食べられなくなる(食欲減退)症状を訴える患者等が多く、食べられないより何でもいいから食べた方が良いと先生方は考えておられるのではないかと私は想像している。
この他にも色々あるだろうかもしれない。そして病院や先生によっても変わってくる所もあると思われるので、そのつど、担当医やナースに聞くのがよいと思う。

2007-04-03

★☆★治療時の感染予防の心得★☆★(入院生活1)

 私が白血病で入院した血液腫瘍内科が作成した「感染予防のために」という冊子を参考に、入院生活時の感染予防の注意事項をまとめてみたい。

 白血病(leukemia)では、正常な白血球細胞が正常に機能しなくなり、身体の抵抗力が落ちてしまい、感染しやすくなる。また、化学療法(chemotherapy)では一時的に血液中の血球(白血球(WBC)・赤血球(RBC)・血小板(PLT))が減るため、減少期に抵抗力が落ち、口内炎(stomatitis)や咽喉痛(pharyngodynia)、発熱(pyrexia、fever)等の感染症(infection)の症状が出ることがある。治療中にこれらの症状が出ると非常に辛い。しかも白血病になる前に経験したこれらの症状とは違い、格段に激しく厳しく痛いものであった。恐らくこれは私に限った事ではなく、同様の治療を受ける多くの人が経験しているものと思う。そんな感染を未然に予防する為の心得みたいなものである。

★行動範囲★
 私が入院した病院では骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)などの場合を除いて、クリーンルーム(無菌室(clean room))に入る事なく治療(化学療法)を受ける。マスク(mask)を常に着けなければならないが、売店に行ってもいい時期もある。その目安になるのが好中球数で、【好中球数】=【白血球(WBC)の個数】×【好中球(Neutrophil)(%表記)】×【1/100】という計算でその個数が分かる。私の病院では1,000以上だと地下にある売店へ行ってもよいし、外出・外泊の目安になっていた。500以下になると外出・外泊禁止となり、トイレ等の場合を除いて出来るだけ病室(空気清浄機設置)を出ない様に、また100以下になった場合は非常に感染しやすい状態でもあり、家族の面会も制限する事もあるという。

★面会制限★
 面会は風邪をひいている人や7歳以下の子供の面会は好中球数に関係なく原則お断りになっていた。面会者もまた、病室前に置いてある消毒剤で手を消毒し、マスクの着用を義務付けられている。この為、私は入院以来、先生にしろナースにしろ、同室の患者さんまで全てマスク姿の人しか見ていない。また、自分の好中球数が安全範囲だとしても同室で治療中の人は危険範囲かもしれないので、病室に入る面会者も一度に2名までか、あるいは面会フロアーで面会するように気をつけなければならなかった。

★手洗い★
 手洗いは小まめにする。食事・内服・排泄前後、外から部屋に戻った時に手洗いして、備え付けのペーパータオルで水分をふき取る。手ぬぐいは使わなかった。

★マスク着用★
 上気道感染予防のため、病室外へ出る時、同室の人と話す時、掃除の時など必ずマスクを着用する様に、と言われていたが、実質上、起きている時はずっと(時には24時間)マスクを着用する様にしていた。マスクは一日一回交換する様にと、各病室の前に新しいマスクが入った箱が設置されていた。

★うがい・歯磨き★
 口腔内感染予防に、うがいは起床時・毎食前・毎食後・就寝前・帰室後にする様にする。一日最低4回はする様に、との事だった。うがいには適宜希釈したイソジンガーグルうがい液が各患者へ病棟から毎週配られる。それでうがいをし、うがい後は口をゆすいだりせず、しばらくはお茶等も飲まずにしておくと殺菌効果が上がると、同室の先輩患者さんから教わった。食後のうがいは歯磨きの後にする。

 歯磨きは毎食後と就寝前に、歯肉(歯ぐき:gum;gingivae)を傷つけない様に柔らかめの歯ブラシを使い、使用後はよく乾燥させる。歯間ブラシは歯肉を傷つける事があるので使用は控える様に、との事。

★陰部・肛門周囲の清潔★
 治療の副作用で便秘(obstipation、constipation)・下痢(diarrhea)になる事があり、排尿(micturition)・排便(defecation、evacuation)後はウォシュレットを使って洗って清潔に保つ様にと書いてあるが、肛門(anus)は排便時に傷つけない様に常に心がけて欲しい。この化学療法で白血球が殆んどゼロになった時、肛門に、ほんの小さな傷でも作っていた場合、大変な苦痛になって襲ってくるのでくれぐれもご用心して欲しい。健常時にはすぐ治る傷も、白血球が無くなるとぜんぜん治らない上に、はれて炎症(inflammation)を起こして重症の痔(piles;hemorrhoids)の状態になってしまう。

★トイレ★
 洋式トイレは、使用前後に便座を除菌クリーナーで拭く様にする。

★入浴★
 湯船は使用せず、シャワーのみ。好中球数が500個以下の時はシャワーも不可で、ホットおしぼりで体を清拭する。拭く時には体に傷がないか等、皮膚の観察をする様に心がける。

★爪★
 爪(nail)の間は汚れやすいので伸ばさない様にする。但し、特に血小板が低下している時は深爪にならない様に気をつける。

★髪の毛★
 薬の副作用で脱毛が起こるが、抜け毛は不衛生という事で剃ってもらう事があるという。枕等についた抜け毛はガムテープ等で取る様にする。
 私の場合は抜けるに任せ、髪を切ったり剃ったりはしなかった。脱毛で髪は毛根(hair root;radix pili)から抜け落ちるが、白血病患者のホームページ等の中で、髪を剃り、それが抜けて枕や服につくとチクチクすると書いてあった。これは毛先が剃った事により鋭利になり、それが抜けたからではないかと考え、剃らなかった、おかげでチクチクする事は一度もなかったが、一つ誤算は第一回目の化学療法で脱毛してしまい、きれいさっぱり毛が抜けてしまうと思っていたのだが、なかなかそうはいかなかった。初回化学療法で大半は抜けはしたものの、想像と違って中途半端に毛が残り(頭頂はほぼ抜けたがうぶ毛や周辺の毛が随分抜けずに残り)、みすぼらしい河童のような感じになったのを覚えている。化学療法が何回も繰り返されるうちに最終的にはほぼ全て抜けたのだが、最後までど根性で抜けずに残っていた毛もあった。
 同室のある女性は、長めの抜け毛を一々始末するのが面倒だと、院内の理容室・美容室でさっさと丸坊主に剃り上げ、サッパリしたと言っていた。髪を剃るか剃らないかは全く個人の自由であった。

★環境整備★
 私の入院した病院では、毎日掃除の人がゴミ取りと掃除を丁寧にしていき、毎日ではないが、除菌クリーナーで棚やテーブル、ベッドの柵や枕電気のカサ等を拭いて清潔にして貰っていた。床に物を落とした場合は自分で拾わずナースコールをして拾ってもらい、ナースはそれを除菌クリーナーで拭いてから患者に渡す様になっていた。病室の窓は、外の埃などが入ってくるので絶対に開けない様にと決められていた。生け花は、細菌がついてくる、細菌の繁殖源になるという事で、お見舞いの花(生のお花)も一切断る事になっていて病室には持ち込めない。お見舞いの人が持ってきた場合は、詰め所に預けられていた。

★転倒予防★
 治療中の血球減少時期の注意事項で、白血球減少に伴う感染しやすい状態に気を付ける他、赤血球減少に伴う貧血(anemia)状態・血小板減少に伴う出血しやすく止血しにくい状態等に気を付ける。
 貧血状態時は普段何気ない動作でもめまい(vertigo;dizziness;giddiness)・ふらつきを起こし、転倒してしまう可能性があるので、ベッドから起き上がる時・トイレの後、立ち上がる時、引き出しから物を出したり、しゃがんだ状態から立ち上がる時なども、めまいに十分気を付ける様にする。はならず固定された物に掴まって、ゆっくり立ち上がる様にする。

 次は食事制限についてまとめてみたいと思う。

★☆★血液検査項目一覧★☆★

一般的な血液検査項目の一覧。

※ 基準値は男女の別や年齢、検査施設によって、時に大きく変わってくるので要注意。

※ この表の基準値は入院時の作成者(成人:♀)自身の基準値を書いてある。

検査項目

読み方

基準値()

備考

WBC

白血球数

2,800-9,000[ /μL]

炎症、血液疾患の指標。薬物の影響も反映

RBC

赤血球数

359-480 [/μL]

貧血の診断に用いる

HGB

ヘモグロビン、血色素量

10.7-14.5[g/dl]

貧血の診断に用いる

HCT

ヘマトクリット

32.3-43.0[%]

貧血の診断に用いる

MCV

平均赤血球容積

78.7-99.7[fl]

赤血球の大きさや濃さの指標.貧血の種類を調べる

MCH

平均赤血球ヘモグロビン量

26.1-33.6[pg]

赤血球の大きさや濃さの指標.貧血の種類を調べる

MCHC

平均赤血球ヘモグロビン濃度

32.4-34.7[%]

赤血球の大きさや濃さの指標.貧血の種類を調べる

PLT

血小板数

12.8-39.3 [/μL]

血液の止まり易さの診断に用いる

reticulocyte

網赤血球数

7.0-20.0[プロミレン]

幼若赤血球で活発な血球再生のプロセス中に出現する

.

白血球分類

読み方

基準値()

備考

Neutrophil

好中球

46-62[%]

主に感染等の炎症性変化、血液疾患等で増加を示す

Lymphocyte

リンパ球

30-40[%]

主にウィルス性の感染症、リンパ性の血液疾患等で増加を示す

Monocyte

単球

4-7[%]

体内の免疫機転と密接な関係を持ち、慢性感染症等で増加を示す

Eosinophil

好酸球

3-5[%]

アレルギー疾患、寄生虫疾患等で増加を示す

Basophil

好塩基球

0-1[%]

数が少なく生理的に消失する事もある。慢性骨髄性白血病等で増加を示す

Myelocyte

骨髄球

.

高度の炎症や腫瘍等で末梢血液中に出現

好中球数

好中球数

.

下記計算式()参照

.

※【好中球数】

=【白血球(WBC)の個数】×【好中球(Neutrophil) %】×1/100

.

検査項目

読み方

基準値()

備考

AST/GOT

アスパラギン酸アミノ酸トランスフェラーゼ

13-33[IU/L]

肝臓、心臓等の障害の指標

ALT/GPT

アラニンアミノトランスフェラーゼ

6-27[IU/L]

肝臓の障害の指標

LDH

乳酸脱水素酵素

129-241[IU/L]

肝臓、心臓、骨格筋等様々な臓器の障害の指標。溶血で極端に上昇

ALP

アルブミン

115-359[IU/L]

肝臓、骨等様々な臓器の障害の指標。

γ-GTP

ガンマーGTP

7-29[IU/L]

肝臓、胆道の障害の指標。飲酒により高値になる

TP

総蛋白

6.3-8.1[g/dL]

栄養状態、肝機能の指標

ALB

アルブミン

3.9-5.1[g/dL]

栄養状態、肝機能の他、一部の腎障害の指標

Ch-E

コリンエステラーゼ

201-436[IU/L]

肝臓で蛋白を合成する機能の指標。有機リン等薬物中毒の疑いのある時にも必須

T-Bil

総ビリルビン

0.3-1.3[mg/dL]

黄疸の確認に用いる。異常がある時、高値になる

CRE

クレアチニン

0.4-0.8[mg/dL]

腎機能、筋肉量の指標 

UA

尿酸

2.6-6.2[mg/dL]

腎機能や細胞の障害の指標。痛風、糖尿病、腎炎等で高値 ※7以上で要注意、8以上で危険信号。

BUN

尿素窒素

8-22[mg/dL]

腎機能の指標。腎炎等で高値となる

CPK(CK) 

クレアチンキナーゼ

35-141[IU/L]

筋肉(心筋・骨格筋)の障害の指標

血清血糖

血清血糖

78-110[mg/dL]

.

AMY

アミラーゼ

36-129[IU/L]

膵臓、唾液腺の障害の指標

Na

ナトリウム

136-144[mEq/L]

電解質のバランスの指標。水代謝異常の指標

K

カリウム

3.6-4.8[mEq/L]

電解質のバランスの指標。神経伝達や筋伸縮に関与

Cl

クロール

99-109[mEq/L]

電解質のバランスの指標。NaCl比は約140100

Mg

マグネシウム

1.8-2.3[mg/dL]

腎臓や甲状腺の機能の指標。 ※低い時、カマグで補える。 

Ca

カルシウム

8.5-9.9[mg/dL]

骨、腎臓、副甲状腺機能の指標

CRP

C-反応性蛋白

0.2[mg/dL]以下

炎症や組織障害の指標。感染症、自己免疫疾患、心筋梗塞等で高値

.

検査項目

読み方

基準値()

備考

Ig-A

免疫グロブリンA

93-426[mg/dL]

局所免疫。異物排除や感染予防機構に関係。消化管や気道の粘膜に多量に存在

Ig-G

免疫グロブリンG

826-1840[mg/dL]

感染防御に重要な役割を演じる。ヒト血清中では最も多いIg

Ig-M

免疫グロブリンM

54-333[mg/dL]

免疫初期に出現。後、Ig-GIg-Aに転換する

Hp

ハプトグロビン

14-294[mg/dL]

減少は溶血の指標。遊離ヘモグロビンに結合する血清αグロブリン。

.

その他、ブログ内の参考ラベル:
●『生亜紫路』の【★血液検査項目★】、
●『生亜紫路2006』の【★血液検査項目★