2007-04-01

2006-03-30(木) 初めての腰椎穿刺(ルンバール)

 Aコース(1回目)3日目、本日も昨日同様の各種点滴のほかに、ルンバール(Lumbal:腰椎穿刺)というのがあるという。髄注(髄空内注入:intrathecal injection)という表現もしているみたいだ。化学療法(chemotherapy)の抗癌剤(anti-tumor agent)点滴だけでは充分に行き届かない脊髄の髄液(脳脊髄液;cerebrospinal fluid;CSF;liquor cerebrospinalis)に直接抗癌剤を注入する治療法で腰椎の間に針を刺して注入するのだという。これによって脊髄のみならず脳にまで抗癌剤が届く事になる。しかし、また針を挿されるのかと思うととても嫌だし、神経の束が一杯走っている腰椎(lumbar)に針を挿して神経を傷つけてしまわないのだろうか、脳が抗癌剤に触れて大丈夫なのだろうか等と、イメージが出来ない分、不安を覚えた。

 午前10時、施術は病室の私のベッド上でTS先生によって行なわれた。4人部屋で他にも同室の人もいる中、カーテンを仕切っただけの状態で始められた。先ず横向きに腰を出して寝る。背中をイソジン綿棒で念入りに消毒後、例によって一つ穴空きの清浄布を腰の腰椎を中心にして被せられる。両手両腕でひざを抱え込み軽く丸くなる様にいわれる。第5腰椎(lumbar)と仙椎(sacral vertebrae)の間を椎間板ヘルニア(disk herniation)で痛めている事をあらかじめ伝えておいたので、第4と第5腰椎の間に局所麻酔(local anesthesia;regional anesthesia)をされた。麻酔注射といえども針を刺すのだから痛い。「今から髄液を抜いていきますので、ひざをグッと引き寄せて出きるだけ丸くなって下さい」といわれた。

 マルクと言う骨髄穿刺(マルク:Mark;bone marrow puncture)は仰向けにまっすぐ寝て胸から骨髄を抜かれ、今日のルンバール(髄注)という腰椎穿刺の方は「丸く(マルク)」なって腰(背中)から髄液を採られるのか、等と冗談の様な言葉遊び(ダジャレ)が思い浮かんだ。

 さて、先ず私の髄液を注射器で一定量抜き、抜いた分量だけ抗癌剤を注入するらしい。例によって声掛けして下さるので背中で行なわれている事に不安を感じつつも、何とか頑張れた。麻酔がかかっているとはいえ、針が刺されるのが分かり、芯の方で痛みを感じた。「次に抗癌剤を注入していきます。この時、尾部にかけてモゾモゾした感じがすると思います」といわれ、注入が始まった。始まったといっても物の十数秒位だったのではないかと思う。しかしこの時尾部ではなく胸の肋骨の真ん中(胸骨:sternum)あたりが締め上げられる様な妙な感覚が起こった。まるで横隔膜(diaphragm;diaphragma)が持ち上げられ肺が小さく押し潰されて苦しいといった感じ。その後、食道(esophagus;oesophagus;gullet)上部圧迫感があって、なんとなく収まった。先生に告げたが、私が今言った様な症状を訴えた患者は今迄いないそうである。私特有の反応だったらしい。また何か異変があったらすぐナースコールする様に言われた。

 この抜いた髄液は白血球細胞(WBC;white blood cell or corpuscle)がいないかどうか、検査にかけられる。先ずは目視で透明なら悪い細胞はいなさそうと判断出来るそうだ。私の髄液は一見透明だったので、ひとまず安心との事だった。

 髄注終了後は骨髄穿刺の時の様に止血に大きな絆創膏を貼られた。頭を持ち上げない様に仰向けになり、枕も当てず頭と腹と脚が真っ直ぐに平らになる様にして1時間ほど安静に寝ているよう言われた。これは脳にまで抗癌剤が行き渡るようにする為だという。また、この腰椎穿刺(ルンバール;髄注)後に安静にせず動き回ったりすると頭痛や吐き気が起こる事があるというので、私は1時間半ほど寝ていた。

 午後、メモ書きしている時にこのルンバール時と同様の痛みというか、締め付け間が再発した。コールすると心電図(electrocardiogram;ECG)を測るといって仰向けに寝させられ、ナースが電極を胸や脚にペタペタと付けていかれるうちにこの痛みは治まってしまった。TS先生曰く胃痙攣(gastrospasm)?に似た反応だとか。夕刻にもまた起こったがすぐ収まったのでナースコールはしなかった。20時頃にもまた起こり、今度は少々続きそうだったのでコールをすると、また心電図の電極を付けられている内に治まってしまった。当直の先生が回診してくれたが、ルンバール後のこの様な症状を訴える患者は今までみた事がないという。しばらく続くのだろうか。消灯前、看護師長さんに個室の件や化学治療で脱毛の始まる時期など色々と相談する。

 その他:ミコシストカプセル[100mg](防カビ剤)は今日(3/30)から3日間(4/1まで)服用を中止する様に先生から指示がある。明日投与する抗癌剤のオンコビンとの副作用の恐れがある為、投与前後は一旦中止にするそうだ。

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