2011-03-13

2011/03/ 13 (日) 東北関東大震災、献血のご協力を!

マグニチュード9.0、世界史上4番目という未曾有の大地震が東北・関東地方で起こり、甚大な被害が出ており、大津波による、目を覆いたくなる様な被害には、ただただ、被災者の皆様のご無事を祈る他ありません。

震災直後の日本全国の震度(気象庁)

三陸沖津波観測情報(気象庁3月11日15時25分)

大津波の津波警報の発表(気象庁3月11日16時08分)

三陸沖津波観測情報(気象庁3月12日00時45分)

その他、googlejapanGeo-Eye 社の人工衛星GeoEye-1 撮影の、地震発生前後の衛星写真 http://goo.gl/E8iwL (Picasa ウェブアルバム)

※↑見る事が出来ない場合は、毎日新聞の頁
 http://mainichi.jp/select/jiken/graph/20110313google/1.html 


地震もさることながら、津波に木の葉の様に翻弄され、押し潰される家々や車、現実に起こっている事とは俄かに信じられない映像が次々とTVから流れ、心潰れる思いです。


被災者の皆様には心からのお見舞いを、不幸にもお亡くなりになられた方々には哀悼の意をお伝えしたいと思います。


自分でも何かしたい、出来る事は何か? と考えました。そして、もしこのブログを見てくれた人がありましたら、どうぞ、【献血にご協力下さい】、とお願いしたいと思い立ちました。

※献血出来る場所は以下の日本赤十字の頁にアクセス下さい。

http://www.jrc.or.jp/donation/index.html#Map1 


非常に多くの人が被災している現在、間違い無く献血(blood donation)する人も少なくなっているでしょうから、今後、被災地は勿論の事、全国的に献血が不足する事は必至と思われます。手術(オペ:operation)や応急処置、治療(medical treatmenttherapy, cure)等に確保する必要があると思いますので、このブログで、献血ご協力のお願いを呼びかけたいと思います。この大震災で、何かしたいが何をしたらいいか、何から始めたらいいか分からないと思っている方がおられましたら、どうぞ、献血という手段での応援もお願い致します。献血は被災者のみならず、現在治療中や不慮の事故に遭われた方にも役に立ちますので、是非献血にご協力願います。

※献血場所 http://www.jrc.or.jp/donation/index.html#Map1


新型インフルエンザ(A H1/N1 influenza)が大流行した折、献血が不足して困っているというニュースがありましたが、悲しきかな、自分は献血が出来ません。何故なら、血液の癌(cancer)と言われる白血病(leukemia;leukaemia)を罹病した為、現在治療を終え退院してはおりますが、今後献血は一生出来ないと言われているからです。かつて白血病で入院中、自分も大変お世話になった輸血(blood transfusion)なのですが、その恩返しの献血すら今は出来ないジレンマ(dilemma)があります。それならばせめてと思い、『献血にご協力を』という呼びかけをしようと思いました。


血液(blood)には寿命があり、献血の赤血球(RBC:red blood cell)で3週間、血小板(PLT:platelet)では3~4日間位しか保存出来ないのですが、血漿(blood plasma)は凍結すれば1年、私が何度かお世話になった『献血ヴェノ・グロブリン(Kenketsu Venoglobulin)』では使用期限が2年等、献血から作られる保存期間の長い血液製剤(blood preparations;blood products)等もあります。一方で、一度献血すると、献血の種類にもよるのですが、次回献血出来る迄、2~16週間の期間を開ける必要があり、頻繁に出来る類の物ではありません。ですから、思い立った時でいいので、献血のご協力をお願い致します。そして、継続的に献血して下さる人が増える事が、何よりも有り難いと思います。 また、新型インフルエンザの時は【B型の血液】が特に少ない、と聞いたので、特にB型の人のご協力も、と呼びかけたいと思います。

※献血血液がどの様な検査を経て医療機関に届くか、また血液製剤の種類やその有効期間については、東京都赤十字センターの『血液のゆくえ』をご参照下さい。

※献血の種類別の採血基準と、次回いつ献血が出来るのかの間隔については日赤の『献血基準』の頁をご参照下さい。


自身も急性白血病(acute leukemia;AL)で長期入院(hospitalization)を経験している為、被災地で現在、白血病で入院中の患者さん達はどうなっているのだろう、さぞかし不安な状態であろうと想像され、胸が詰まります。治療中の人は感染(infection)予防の為、病室から出ずに安静にしている・或いは病室から出てはいけないと言われている人が多いと思うから、また、頻繁に輸血(blood transfusion)が必要な時も多いのに、血液を病院に届けるのもままならない状況(輸送路等)なのではないかと思うと、尚の事、胸が痛みます。


話は少しそれてしまいましたが、輸血が必要な人は、別に白血病の患者さんに限った事ではありません。被災地のみならず、他の病気や手術や大怪我をして大量出血した人等、多くの人に必要であります。


だから、どうぞ、何かしたいと思っている方々、献血にご協力をお願い致します


そして、ご賛同頂けた方は、どうぞ自らも【献血にご協力を】と宣伝して頂けると有り難いです。口伝でもいいです。ツイッターやブログ等の手段をお持ちの方は、リンクして下さっても、自ら発信して下さってもいいですので、是非【献血にご協力を】と宣伝して下さい。当ブログは訪問者が少ないので、皆様のご協力で、献血の輪が広がっていけば幸いと願っております。


最後に、被災者の皆様、どうぞご無事で、今はお辛い時期でしょうが、どうぞ皆と協力し合って、この局面に立ち向かって行って下さい、と心よりお祈り申し上げます。


※【生亜紫路】にも、同文をUp

2010-03-27

2010/03/27 (土) 初発入院後丸4年

 本日で初発入院後、丸4年となった。日にちにして1,462日、骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)後Day 1,235だ。

 急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia;ALL)で緊急入院・治療以降、再発(recidivation)はしていない。何の根拠も無く、5年は大丈夫だと入院当初から確信しているのだが、色んな事があり過ぎて、入院したなんて、遠い昔の様な気さえする。

  最近は、全身の痛み(pain)が強くなって来た様で、結構辛いのだが、無事に生活出来ている事に、感謝感謝。

2009-04-04

2009年04月02日(木) 骨髄移植に関する気になるニュース

 『骨髄移植、2月以降困難に? 移植フィルターをめぐる迷走』(第139回(2009年2月10日))という記事を見つけた。Yahooニュースで、書いた人は医療ジャーナリストの和田勉と書いてある。

 ネットの記事はいつ削除されるか分からないので、以下に、その記事全文をそのまま転記させて頂く。
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骨髄移植、2月以降困難に?移植フィルターをめぐる迷走』第139回(2009年2月10日)
国内の骨髄移植の9割以上で利用されている米バクスター社製の医療器具が在庫不足となり、2月以降の移植が一時的に難しくなる可能性が出ていることがわかった。毎月百数十件ずつ実施されている国内の骨髄移植手術に支障が出るおそれもあるため、厚生労働省はバクスター日本法人の担当者を呼び、調査に乗り出した。一私企業の都合で治療が困難になるほど、いまの医療は脆弱なのか。

骨髄移植時、ドナーは約1リットルの血液を失う
昨2008年12月20日、読売新聞は「米国バクスター社の医療器具が在庫不足となり、2009年2月以降の骨髄移植が一時的に難しくなる可能性がある」という趣旨の報道をした。同紙のこのスクープは、当然のことながら移植を予定・希望している患者・家族、ならびに医療関係者の間で大きな衝撃を与えた。
 バクスター社の医療器具とは『ボーンマロウコレクションキット』というものだ。このキットはドナー(骨髄提供者)から採取した骨髄液を濾過し、その中の不必要な成分を取り除く機能を持ち、別名「骨髄移植フィルター」ともいう。骨髄を移植された患者に血栓が出来るのを防ぐために欠かせないものである。
 骨髄移植は、白血病の治療のために行われる。ドナーに全身麻酔をかけ、注射器で骨髄液を採取し、その骨髄液を患者の静脈に点滴する。その骨髄液の中の造血幹細胞が患者の 骨髄で血液成分を作り始めると、骨髄移植は成功である。現在では骨髄移植は年間1000件近く行なわれている。
 ドナーは骨髄移植の手術日が決まると、数カ月前から準備にかかる必要がある。ドナーとしてふさわしいか、健康診断、血液検査など各種検査を受けなくてはならないからだ。ドナーは骨髄を採取する際に、骨髄液と共に約1リットルの血液が失われる。これは健康な大人でも致死量に近い量だから、当然輸血しなくてはならない。輸血は自己血が使われる。自分の血液をおよそ一カ月前から蓄えておくことになるわけだ。
 そんなわけで「骨髄移植フィルターの在庫がなくなる」とは、そのまま「ドナーがいなくなる」「ドナーはいても移植が不可能になる」ことを意味する。患者にとってはまさに生命に関わる一大事なのである。


2月の危機に対して手を打ったのが1月28日という製薬会社の「怠慢」
ところで、何故このような事態に至ったのだろうか。
 理由は単純だ。2007年3月、米国のバクスター社が血液療法部門から撤退したためだ。同社は『ボーンマロウコレクションキット』を製造していた事業部門を投資会社に売却し、これを受けた投資会社はフェンオール・インクという新会社を設立する。この新会社は『ボーンマロウコレクションキット』を製造していた工場をドミニカ共和国に移した。米国よりはドミニカのほうが人件費がはるかに安いためだ。
 必要な量を引き続き生産できるのなら、人件費が安い地に移転するのは患者にとってもメリットはある。しかし事はそう簡単ではなかった。米国では医薬品や医療器具の製造方法や製造場所を変更した場合、FDA(食品薬品局)など監督官庁に変更を申請し、新たに承認を受けなくてはならない。そこでどういう不手際があったのかは詳らかではないが、この承認の目処がまったくついていないようだ。これが『ボーンマロウコレクションキット』の在庫がなくなるカラクリである。
 バクスター日本法人は、どういう対応をとろうとしているのだろうか。私が問い合わせてみたところ、同社の答はこうだった。2009年1月28日に、米国バイオアクセス社の骨髄移植キット『ボーンマロウコレクションシステム』について製造販売承認申請を行なった、と。ただしこれはバクスター社自身が申請したものではなく、承認申請に「協力してきたところです」(バクスター広報部)という。
『ボーンマロウコレクションシステム』もまた骨髄移植フィルターだが、日本での承認は得られていない。その承認申請を行なうのは、もちろん正しいことではある。
 だが私は、バクスター日本法人の対応には大きな問題があると思う。「申請を協力した」というが、そもそも2月以降の移植に支障が出ると憂慮されているというのに1月28日に「申請協力」してきたとは、なんとものんきな話ではないか。


米国流の市場原理主義が医薬品類の在庫を消した
未承認の骨髄移植フィルターを海外から輸入して利用する場合、費用の負担が問題になってくる。患者・医師が個人輸入する場合は混合診療になり、患者は500万~1000万円という高額な医療費を負担しなくてはならない。混合診療を避けるためには、高度先端医療制度、あるいは治験で費用を負担する方法しか考えられない。しかし骨髄移植は今や国で300施設で行なわれている一般的な医療行為であり、高度先進医療にはなじまない。
 NPO法人・全国骨髄バンク推進協議会(大谷貴子会長)は、「国内未承認のキットを使用した場合でも、骨髄移植を保険診療と認めてください」と要望を記した署名活動を行い、舛添厚生労働大臣に陳情しようとしている。舛添大臣が「英断」を下すことに強い期待を表明しておきたい。
 それにしても、生命にかかわる医薬品や医療器具が一私企業の都合であっさり在庫がなくなるとは、米国の企業が――それこそ医療機器を製造している企業であっても――いかに強い市場原理主義で動いているかという証左でもある。私は本稿では市場原理主義についてとやかくいう気はないが、少なくとも医薬品や医療器具の場合、在庫を維持するという最低の公共的責任を果たしてもらわなくてならないとは思う。
 むろん、わが国の医療行政の危機管理の希薄さ・迷走ぶりも、いかにも悲しい。混合診療、高度先進医療制度など、規制の枠にとらわれる必要があるのか。患者の命に関わる医薬品や医療器具の供給が途絶えたとき、閣議決定で緊急輸入するというくらいの危機管理が必要ではないかと強く訴えておきたい。


和田 努(わだ・つとむ)
1936年広島市に生まれる。早稲田大学卒業、NHKに入局。TVディレクターとして数多くの作品を制作・演出。主に原爆問題、医療問題を扱った番組で評価を受ける。現在フリーのジャーナリストとして活躍。医療・福祉の分野を得意とする。著書は『カルテはだれのものか』(丸善ライブラリー)、『医療事故自衛BOOK』(小学館)、『バイオエシックス・ハンドブック』(法研)など多数。
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 骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)に関しては、思う所は一杯あるのだが、この記事で、ドナー(donor:提供者)が致死量に及ぶ骨髄液(bone marrow aspirate)を提供しているという事は、全く認識していなかった。ある意味、この事実に衝撃を受けてしまった。当時、自己血液をあらかじめ保存しているという話を聞いていたにも関わらず、自分はそこまでドナーの状況について調べ様という余裕はなかった。自分の未熟さに恥じ入ると共に、万難を排して骨髄を提供してくれた次姉に、今、改めて感謝する気持ちで一杯になった。

 次姉上様。。。。。。本当に、ありがとう……そして、ごめんね。。。。。。私の為に、要らぬ苦労を背負い込んじゃったのではありませんか? それから、骨髄移植のドナーになって下さった多くの皆様にも、その勇気と善意にただただ感謝という気持ちで一杯です。移植を受けた一人として、本当に心から有難うと言わせて下さい。ありがとうございます。

 今迄にIVHルート(CVルート)やルンバール(Lumbal:腰椎穿刺)に関してはまとめている。ただ、自分は移植(transplantation)される側の患者(patient)であった。それでも、患者の立場からの情報だけでは片手落ちだと考えていたので、ドナー側の情報も含め、骨髄移植についても、一度詳しくまとめておかねばと思い、資料を集める所迄はしている。その中に、今回の記事にも出てきている『ボーンマロウコレクションキット』(バクスター ヘルスケア社)という資料も得ている。しかし、ちょっとその段階で力が尽きてしまい、まだまとめていない。恥かしい事だ。

 骨髄移植については、素人がどれ位 詳しく纏められるかは分からないが、これも難しい内容なので、御報告出来る迄にまだ時間を貰わなければならないと思う(まだ自身にその時間的余裕がない)。それでもこの件について、患者側からの視線で必ず纏めたいと思っている。

 ドナー側の情報を書く事で、移植を受けた患者側の感謝の気持ちを込めるつもりだったのだが、まだまだ、その実態を把握し切れていなかったらしい事を、今回思い知らされた気がする。。。

2009-04-02

携帯から投稿してみる

ちょっと息抜きで、携帯で写真を撮って投稿してみる。

携帯からも投稿出来ると分かったので、ちょっと練習だ。

写真は去年伯母宅から分けて貰ったアッツザクラ。とっても綺麗に咲いてくれている。かわいらしい……

うちのお墓にもこの前、植えてきた。あそこでも綺麗に咲いてくれているかなぁ……

2008-11-11

2008/11/07 (金) Hyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法の治療成績

 今日、成人ALL(acute lymphocytic leukemia;急性リンパ性白血病)におけるHyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法の治療成績という記事を見つけた。これは私が入院中に受けたのと同じ名前の治療法である。この記事を見るまで、私はHyper CVADという治療法を受けているとずっと書いてきたが、正式には『Hyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法』を受けてきたと書き直した方が良いかなと思った。

 入院当初の説明では、化学療法(chemotherapy)は計8回あり、それが終わったら、移植(transplantation)を考えた方が良いと言われていたが、全く同じ化学療法を8回受けるのではなく、実際は最初に【Hyper CVAD療法】を受け(1クールという)、それを終了すると次(2回目)は【High-dose MTX-Ara-C】という別の薬剤を扱った化学療法を受ける(1クール)。ここまでで1セット(即ち、合わせて2クール)である。この繰り返しで計4セットこなすと、合計8回の化学療法を終える事になるのだ。それは理解していた。

 この化学療法名は使われている主な薬剤の頭文字を使っている様で、詳しく書くと、Hyper-CVAD (hyperfractionated cyclophosphamide, vincristine, Adriamycin, and dexamethazone) / high dose MTX-Ara-C (high dose methotrexate and cytarabine)と、とにかく長い。確かに前半は「ハイパー・シー・ヴァッドを行ないます」と聞いた覚えはあるが、後者に関しては「メソトレキセート・アラ・シー」等という言葉ではなく、「二つ目の化学療法をします」としか聞いた覚えがない。その為、この化学療法の名称が「Hyper C-VAD」なのだと勘違いしていたのかもしれない。

 ちなみに私の場合は、化学療法最終段階(丁度、末期癌が発見された母の入院やごだごだ等が急に起こった時期にあたるのだが)で、それまで順調に経過していた私がひどい肺炎(pneumonia)を起こしてしまった為、先生は私に8回目にあたる最後の化学療法【High-dose MTX-Ara-C】を受けさせる事を断念され、骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)を急がれたという経緯がある。

 さて、今回見つけた記事は、自治医科大学医学部紀要で、ここで成人のALL患者(*)に実施された、Hyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法の治療成績である。この抄録は2005年末に発表されており、その治療成績は2000年から50ヶ月分(4年2ヶ月)の統計であるが、無病生存率42%、全生存率(**)85%と良好であったという。発表時点で、いわゆる5年無病生存率迄は出ていないが、これを発表した病院で以前実施されていた治療法での長期生存率(多分、5年全生存率と思われる)が35-40%というから、それに比べると非常に効果のある治療法に思われる。この治療法は、寛解期の早い時期に、移植可能な患者には移植する事を前提としている様なので、その上での成績でもあると考えられるかもしれない。
*一般に、成人ALLと小児ALLとは区別して考えられている様だ。自分はいつも不思議に思っているのだが、同じALLでも、その治癒率は成人と小児との間に大きな開きがある。そして治療法も異なると主治医から聞いた事があるので、ここでの治療成績は、成人のものであって、子供のALLの場合とは別物と考えた方が良いと思われる。
**全生存率というのは、恐らく無病生存者と、治療後、何がしかの病気を発病したとか、具合の悪い人とかも全て含んだ、要するにその時点で治療後生きている全ての人の割合を指しているのだと思う(もしかしたら再発してもとにかく生存している人も含んでいるかもしれない)。


 私が治療を受けた病院もこの同じ治療法を導入しており、入院当初、4年迄の成績しか出ていないと先生から言われていた記憶がある。自分が入院したのは2006年3月なので、主治医から受けた説明とこの結果はほぼ同じの様な気がする。その当時私は、比較的新しく開発された治療法の一つなのだと理解していた。そして、血縁でHLA(骨髄の型;組織適合抗原:Human Leucocyte Antigen)の一致する人がおれば、移植する方向で治療にあたるともいわれていた点も、この抄録の治療方針と一致している様に思われる。

 参考までに、入院中主治医から訊いた話なのだが、日本の病院では、成人ALLの患者にこのHyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法を採用するグループと、JALSGというグループでの治療法を採用する病院の2つに大別されるらしい(もちろん、他の治療法もあるそうだが)。Hyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法は、外国で開発された治療法、JALSGは日本のグループが研究開発した治療法、との事である。

 私はこの2つの治療成績を比較するつもりはない。どの病院もきっと、これがベストと思われる治療を行なってくれていると思うからだ。特に初発の急性白血病の場合、大抵は緊急入院、即、治療開始となる事が多いと思う。すると、自然と入院した病院が採用している治療法になる流れとなるから、治療法選択の時間が無いと考えてもいいのではないだろうか? それに、病名宣告を受けたとしても、先ずはどんな病気なのかを知るのに手一杯で、どの治療法がいいか、等と悠長に調べている時間はないだろう。それが可能な人は最初の治療開始前に、初めから自分の納得いく治療を実施している病院へアクセスするがベストだと思う。

 治療成績も気になる所だろうが、緊急を要し、かつ長期にわたる治療となる病気なので、多分この状況で大事なのは、入院した病院の先生を如何に信頼出来るか、という事の方が大きいかもしれない。既に治療が開始されたが、どうも病院や先生に信頼が置けないと思ったならば、取り敢えず外出許可が出る位の状態になったら、転院する方向を考えてもいいかもしれない。しかし、一旦開始された化学療法を途中で変えるのでは無く、同じ化学療法を行なっている病院を探して移った方がいいのではないかと思う。というのは、運悪く、早期に再発(recidivation)してしまった場合、同じ薬剤を使った化学療法では白血病細胞(leukemia cell)をやっつける効果が余り期待出来ない為、他の化学療法を選択する事になると、かつて先生から言われた事があるからだ(寛解後5年位経過した後の再発ならば、再度同じ化学療法も検討の余地があるらしいが)。つまり、再発の場合、その薬剤耐性の白血病細胞であると考えられるので、違う薬剤を使った治療を検討する事になるらしい。だから、もし治療途中で転院し化学療法も別なものに変えてしまったのなら、万が一にでも早期再発した場合の、次なる治療法の選択肢が少なくなってしまうのではないかと思うからである(詳しい事は主治医にご相談下さい)。それに、自分に合っている治療法が何なのかなんて、比較する事等出来ない。それより、先生と病院を如何に信頼出来るかの方が、人間本来がもつ治癒力を高められそうな分、いい様な気がする。

 話がそれてしまったが、この化学療法の治療成績が出ている抄録が掲載されたアドレスを、参考資料として、最後に記載しておく。

 奇しくも明日は移植後丸2年、入院から起算すると2年7カ月以上が経過した事になる。幸い、再発せずに無事経過している。運もあるかもしれないが、この治療法は私にはよく合っていたのかもしれない。最後まで心配してくれていた母にも、心の中で、「無事ですよー」と感謝の祈りを捧げる一日である。

参考:『当科における成人ALLに対する地固め療法としてのHyper-CVAD / High-dose MTX-Ara-C療法の治療成績 (Consolidation therapy of adult acute lymphoblastic leukemia with Hyper-CVAD / high dose MTX-Ara-C)

2008-10-18

2008/10/18 (土) 白血病(leukemia)の新しい治療法開発記事

 先日、長姉から、白血病(leukemia)の新しい治療法が開発されているらしい、とメールを貰った。参照ページを見ると、骨髄性白血病や骨髄異形成症候群(MDS:myelodysplastic syndrome、DMPS:dysmyelopoietic syndrome)での予後不良因子である「Evi-1(転写因子)」の活性を抑え、化学療法(chemotherapy)を併用すると、より生存率(survival rate)を延長させる事が出来る可能性があるというものであった。

 ところで、自分は急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia;ALL)である。入院当初「骨髄性の顔も少し持っている」と、にわか患者にとって理解不能な事を先生から言われたが、検査の結果、それは不良因子ではなかったと教えて貰えている。結局どっちなのかと聞くと「骨髄性の顔をちょっと持ったリンパ性(lymphocytic)であるが、リンパ性白血病と考えて下さい」とややこしい事を言われた覚えがある。そして、治療法は、リンパ性白血病の治療法が採られる事になった。その後、骨髄性(myelogenous)とリンパ性(lymphocytic)では治療法が異なる事、同じ白血病でも、成人の骨髄性とリンパ性との間で生存率に大きな差がある事、また、同じリンパ性白血病でも、子供が罹病した場合、成人よりもはるかに治癒率が高い事も知った。

 折角姉が、参考になると思って教えてくれた記事ではあるが、今の自分には関係ないなぁ~っと、ちょっと残念であった。しかし、自分も発病当初、自分の病気を知る為に、随分とあちこちにアクセスして調べた記憶がある。今回、骨髄異形成症候群という、聞きなれない病名が出てきたが、この病気は、治療の難しい貧血(anemia)で、白血病へ移行しやすく、骨髄造血細胞の異形成性がみられる疾患の総称だそうだ。この病気や骨髄性白血病の人が、偶然このブログを訪れた場合を考えて、この記事を紹介しておこうと思い直し、この文章を書く事にした。

  紹介して貰った記事は、「薬事日報」というページの『難治性白血病治療に光明-「Evi‐1」を標的に白血病幹細胞の増殖制御へ』という所にある。何かの参考になれば幸いである。

2008-10-17

2008/10/16 (木) 血液と骨髄液の違い

 血液(blood)と骨髄液(bone marrow aspirate)、これはどちらも赤い血の色をしているが、どう違うのだろうか?

 厳密的にどう違うのか、その定義は知らないが、感覚的に言うのなら、体中をめぐっているのが血液で、骨の中にある血が骨髄液と言えるかと思う。

 血液は、血液検査(blood test)でおなじみの赤血球(RBC:red blood cell)と白血球(WBC;white blood cell)、血小板(PLT:platelet)と、液状の血漿(blood plasma)で成り立っている。献血(blood donation)等で腕から採られる血液の事を末梢血(peripheral blood)という事もある。ちなみに、血漿はけがをした時に、血を凝固させて出血を止める役割をしている事で良く知られているが、タンパク質(protein)や脂質(lipid)、糖質(sugar)、各種ミネラル(mineral)で構成されていて、養分(nutriment)や老廃物(waste)の運搬役や、免疫機能(immunity;immunization)も持っている。

 一方で、骨髄液は骨の中にある部分と言おうか、鶏の骨等をポキンと割った時に、骨内部に見える赤い血の色をした部分を指し、そこで体中に流れている血液のもと(白血球・赤血球等)を作り出す「血液製造工場」になっている。つまり骨髄液には血液を作る能力のある、造血幹細胞(幹細胞(かんさいぼう:stem cell)というものが一杯あり、成熟した(完成した)血球が骨の内部から血管へ旅立って行く、というイメージが出来るのではないだろうか? 末梢血にもこの幹細胞は含まれているが、絶対的量が少ないのに対し、骨髄液中には大量に存在し、生まれたばかりの血球や、成熟してまさに体中に旅立とうとしている血球までが全部一緒になって存在していると考えられると思う。

 骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)やマルク(Mark:骨髄穿刺;bone marrow puncture)では、骨に針を突き刺し、その骨の内部にある骨髄液を採取して、移植、或いは検査をするという事になる。

 余談だが、入院当初、良く困惑した名前(医学用語)の一つに、骨髄液と脊髄液というのがある。どちらにも“髄液”という同じ言葉が入っている為、耳から説明や言葉を聞いていても、どちらがどっちだったかと、頭の中では混乱していたものだった。後者の脊髄液とは脳脊髄液(cerebrospinal fluid;CSF;liquor cerebrospinalis)とも呼び、ルンバール (Lumbar:腰椎穿刺)の時に採取される液の事である。この脳脊髄液は健康ならば無色透明の液体で、脳や背骨の中を通っている神経を、外部の衝撃から守る役目をしており、背骨や頭蓋骨の隙間に満たされている液と表現出来ると思う。ルンバールや脳脊髄液については『ルンバール(Lumbal)はどこに刺すのか』で詳しく書いたので、それを参照して頂きたい。

 ところで、昨夜、偶然NHK教育で『10minBOX』というものを見た。テーマは“理科2”の「血液の探求~血液の成り立ち」だった。

 このNHK教育の『10minBOX』というのは、中学・高校での学習に活用する為の番組らしい。たまに見ているが、どのテーマも、10分と短い時間の中で、簡潔にわかり易く解説されており、非常に良く出来ている。今回は血液がテーマと分かり、興味津々で見入った。

 入院して初めて、血小板という成分輸血を経験したのだが、輸血(blood transfusion)と言えば血の色、赤いとばかり思っていたのに、黄色(血漿の色)で少し驚いた記憶がある。落ち着いて考えれば、血小板も血漿も血液成分なのだから、輸血という表現は的確で全然不思議ではないのだが、“血は赤い”という先入観が錯覚を起こさせた。実際、採血した血をしばらく静置しておくと、赤血球等は下に、血漿成分(黄色く透明)は上に分離するのは知っていたので、成分献血の際は、比重の違い等を利用して、多分遠心分離で、血小板をより分けているのだろうと理解していた。

 番組では、献血の話から始まり、どうやって血液成分を分離採集しているかという、今迄あやふやだった自分の知識の所も、詳しく説明されており、更に、血球の誕生の様子や、血液を作るもとになる細胞、即ち幹細胞の説明、と続き、最後は白血病等の、血液の病気の話から骨髄バンクの話にまで触れて、終わっていた。

 文章で書く(説明する)と長くなってしまう内容も(それゆえ、難しく感じたり、読むのが嫌になってしまう内容も)、映像付きなので、非常に分かりやすい。見て正解だった。早速、再放送はいつあるのか、或いは次回放送内容は何かをネットで調べてみたら、「血液の探求」というテーマでこれから5回放送される事が分かった。自分は、偶然その血液シリーズの初回を見た様である。

 NHKのHPでは、『10minBOX』をビデオクリップという形で、パソコン画面で、テレビと全く同じ内容を再生して見る事が出来ると分かった。血液の事で何か知りたいとか、興味あるという人は、右の(→)「第11回 血液の探求~血液のなりたち」をクリックすれば、直接ビデオクリップへアクセス出来る。中学・高校の教材用と侮るなかれ、である。