2007-08-17

2006 歯ブラシ事件補足

 歯ブラシ事件の件の追記をしておく。

 歯ブラシ(toothbrush)を消毒(disinfection)して使い回しにされていた事に驚いて、一体どんな方法で消毒するのかをKB先生に訊いた時、先生は歯ブラシの消毒方法はよく知らなかったが、胃カメラ(gastrocamera)等はグルタルアルデヒド(glutaraldehyde)で消毒するのだと言われ、ビックリした。私の仕事ではお馴染みの薬品で、生物組織等を固定(fixation)するのに使用している。それが消毒薬として使われているとは全く知らなかったし、想像した事も無かった。消毒した後はよく洗浄するのだろうけれど、グルタルアルデヒドは強力な固定液というイメージが強いので、今後、胃カメラを飲む機会があるとしたら、それなりに複雑な気分になるかもしれない。

 それはさておき、例えどんな消毒方法があろうとも、歯ブラシの使い回しは気持ち悪く、何とかならないかと先生に訴えた時、口腔外科に先生自身の口から伝えるのを何となくためらう言動をされていた。その時、とにかく上層部に直接話が通る方が効果的と思われた根拠となる話をして下さった。

 KB先生は10年以上前に刑務所にも勤めておられた事があるらしい。そこでの話だが、囚人のヒゲ剃り用のカミソリ(razor)は全て使い回しになっており、毎回全員分のカミソリを回収しては洗浄して次回使用分に回していたと言う。先生は服役者の中にはC型肝炎(hepatitis C)の人もいれば、少数ながらAIDSの人も存在する可能性があり、非常に危険なので、カミソリは個人持ちにする様にと訴えたが、「前例が無い」とか、「管理し切れない」等の理由によりついに聞き入れて貰えなかったそうである。

 ところが、組織の下(末端)の者(ここでは先生自身)がなんぼ叫んでも通らなかった、このカミソリの個人持ちの件(もちろんカミソリを服役者が保管する事は出来ないが)は、ある時、鶴の一声で上層の人がOKを出したら、すんなりとそれが実現(実行)されたという。

 この様な経験から、出来るだけ直接上層部に話が伝わる方が、下手に先生からその科へ話を通すよりは、改善させ易いと考えられた様だ。伝え方が悪いとその科の長(上司)に伝わる前にうやむやになってしまう可能性も無いとも言えないみたいだった。

 それにしてもKB先生は本当に色々な所で勤めておられると、ちょっと感心してしまった。

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