2007-05-19

2006-05-03 (水・祝)  骨髄移植の結果の不思議な話 

 急性骨髄性白血病(acute myelocytic leukemia;AML)で骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)を受けた同室のKBさんが本日午後、退院(discharge)して行かれた。彼女は一旦治療を終えて退院していたのだが、再発(recidivation)して緊急再入院、兄とHLAの型が一部一致した為、骨髄移植をした、という話を聞いている。私が入院してきた時、丁度移植でクリーンルーム(clean room:無菌室)におられたそうだ。経過は順調で、ご主人とお子さん、ご家族の迎えで、彼女はとても嬉しそうに退院された。自分も入院して分かったが、この病気の治療期間は長期に渡るので、待ちに待った退院であろう。退院おめでとうと言って別れるのに、思わず私も涙ぐんでしまった。私は骨髄移植を先生から強く勧められているので、もっと彼女から移植についてどんなものなのか聞きたかったが、ついに聞きそびれてしまったのが、少し残念であった。

 さて、この骨髄移植を行なうにはHLA(骨髄の型;組織適合抗原:Human Leucocyte Antigen)という白血球の型が一致していなければならないのだが、このHLAというのはいわゆるA、B、AB、O型という赤血球(RBC:red blood cell)の血液型とは無関係で、血液型が違ってもHLAの型が一致していれば移植可能である。またHLAの型が一致した場合の移植で、ドナー(donor:提供者)と患者(recipient:受容者、宿主)の血液型が異なれば患者の血液型はドナーと同じ血液型になってしまうのだそうだ。例えば患者がB型で、ドナーがA型の場合だと、患者は移植後ドナーと同じA型になってしまうという事だ。ここまでは私も知っていた。ところがもっとビックリする様な話を聞いてしまった。

 それはある日の事、今日退院されたKBさんに担当医師が少々興奮気味に話かけていたのを、聞いてしまったというか、4人部屋なので、聞こえてきた時の話である。その話をまとめると、骨髄移植を受けたKBさんは、色々検査をした結果、「今後は血液検査をしたら男性と判断されるだろう」と。つまり血球系と血管内皮、骨髄は兄由来の男性と判別されるので、オリンピック(Olympic)には出られないだろう、とその先生は変な例えをされていた。しかし、免疫抑制剤(immunosuppressant)によってそれらは共存しているので、皮膚などの細胞はKBさん本来の女性のものと判別されるそうである。皮膚は自分本来の女性のもの、血液は男性と識別される。骨髄移植とは複雑な世界である。

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