2007-03-31

2006-03-27(月) 卵子保存について

 急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia;ALL)+骨髄性(myelogenous)の可能性もあるかもと宣告され、説明は続いた。最近は何かと厳しくなってきているのだろう、『輸血ならびに血漿分画製剤使用の同意書』(これは輸血前にサインしたと思う) とか、『病理組織材料の診療目的外使用に関する同意書』等、一々同意書などにサインしなければならなかった。家族のサインが必要な所は付き添いの長姉がしてくれた。

 不良因子の有無を調べるのに欠かせない「体細胞遺伝子解析」(bcr-ablという遺伝子を調べたい)を実施したいが、希望するか、希望する場合その結果を聞くか聞きたくないか、またその検体の医学研究使用可か拒否か、等など。もしもの場合、せめて医学研究の1データとしてでも貢献したいという気持ちが働き、全てYesとサインした。最後の欄がなんとなく複雑であった。『不慮の事故等で遺伝子解析の結果を聞くことが出来なくなった場合、どうされますか?(いずれかに丸をつけてください) ・誰にも伝えない。 ・下記の人に伝えて欲しい。』要するに私が死んじゃった場合って事ね。ここも長姉に伝えて欲しいと記入した。

 治療によって起こりうる副作用(side effect)・合併症(complication)の説明、臓器への負担・ダメージ、輸血(blood transfusion)・感染症(infection)の予防等など・・・そして「化学療法(chemotherapy)後に発生する不可逆的な合併症として男女とも不妊症(sterility)になる場合がある、その場合、卵子(egg;ovum)を前もって保存する方法がある」、という話をKB先生は続けてされた。このところだけ長姉がいきなり「ああ妹(私の事)は、それは関係ありませんから」と決め付ける様な口調で先生に言った。

 横で聞いていた私はビックリした。いくら結婚はしないと言ってきたからといって、何故私自身に関わる問題を姉がどうこう言う権利があるのだろうか。それに不思議な事に治療によって不妊になる可能性があると聞いた途端、将来妊娠(pregnancy)する可能性、子供を産む可能性を残したいと、半ば本能的なものなのだろうか? そう思った矢先であった。自分にそんな感覚が潜んでいたとは知らず我ながら驚いたが、姉の発言にクレームを付けると、姉は「それなら相手をまず探さないと」という。今そんな事は問題ではない。残せる可能性があるのなら残したいと思った私の意志の方が大切なのではないだろうか。

 卵子保存は基本的に結婚した女性に適用されるらしいが、もっと若くして(例えば学生等)病気に罹る人もおり、将来的に残せる様に法改正をすすめていて実際に未婚の男女の精子(spermatozoon, sperm, sperm cell)や卵子(egg;ovum)の保存をしている病院もある、と説明を受けた気がする(よく覚えていない)(※)。しかし、現在の私の状態は卵子を採る暇はなく、一刻も早く治療を開始した方が良く、この化学療法が一通り終わった時点で改めて考える事にしましょう、という事だった。

 女性は月経(menstruation;menses)というものがある。約一ヶ月のサイクルで卵子が成熟して排卵(ovulation)される。そう簡単に卵子が採取出来ない事は想像ができる。しかし、過酷な副作用も生じる化学療法の間に卵子は傷つくのではないだろうか、それからでもまだ大丈夫なのだろうか、疑問は尽きなかったが、その時期がきたら改めて先生に教えてもらおう、今は治療に専念するのが一番なのだろう、と心の中で言い聞かせながら、化学療法実施についての同意書にサインをした。

 入院初日の今夕から薬の服用が始まった。防カビ剤という。22時になり消灯となったが、すぐに寝られるものではない。病室は暑く、詰め所に響くナースコールが聞こえてくる、ナースが見回りに来る等、騒がしくてよく眠れない夜を過ごす。

【入院時の記録】
14時、貧血で、体温:36.9℃、血圧:132/87(脈拍77)、SpO2:97という状態で入院。

【血液検査結果】
WBC(白血球数)51,100[/μl]、HGB(ヘモグロビン)6.1 [g/dl]、PLT(血小板数)16,000[/μl]、好中球(Neutrophil) 2%、芽球(Blast) 83%、リンパ球(lymphocyte) 15.0%、CRP(炎症反応)0.3 [mg/dl]、LDH 418 [IU/l]、γ-GTP 230 [IU/L]、Ig-A 101.4 [mg/dl]、Ig-G 505.0[mg/dl]、Ig-M 82.8 [mg/dl]

【内服薬】
・ マーズレンS顆粒[1.5g/day]:1日3回
・ ミコシストカプセル[100mg](防カビ剤):1日1回毎夕食後
・ バクタ錠(防カビ剤):1日1回毎昼食後
・ ザイロリック錠[100mg]1日2回毎朝・夕食後

※ 補足だが、2007年1月23日朝のニュースに『未婚女性も卵子保存容認…産科婦人科学会 (2007年1月23日)』というのが流れた。これは私が説明を受けた時はまだ未承認だった。白血病など血液のがんの治療で不妊になる恐れのある未婚女性の卵子を、将来の体外受精のために凍結保存する事が出来るというニュースである。間に合う人、模索している方は色々調べてみて下さい。
http://health.goo.ne.jp/news/20070122i316-yol.html 
http://health.goo.ne.jp/news/20070122a4570.html 

※追記事項(080829):
【卵子保存関連で、「生亜紫路」の『2008/08/27 (水) 卵巣組織保存について』もご参照下さい。】

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