2007-03-28

2006-03-23(木) 白血病と宣告される

 朝、いつもどおり荷物をまとめて家を出、電車を乗り継ぎ2時間半かけて神戸にある職場に到着する。但しすぐに息が切れてしまい心臓がドクドクと頻脈になってしまうので、出来るだけゆっくりと歩く様にし、極力エレベーター・エスカレーターを使う様にした。

 珍しい事に携帯に伝言が連続して入っており、見ると母からだった。母は何度も電話をかけてくれていたらしいが、移動中だったので気が付かなかった。するとまた電話がかかってきたので出ると電池切れになってしまった。電話をかけ直すと非常に深刻な声で母が、すぐにかかりつけのO先生に電話をする様にと言う。朝一番で先生から電話があったそうでどうやら昨日の血液検査の結果が良くなかったらしいのだ。あのO先生がわざわざ、それも朝一番で電話をかけてこられるとはただ事ではないと感じ、すぐにO先生に電話をかけた。

 お酒を良く飲むので肝臓の値が悪いのかと思ったら、血球数に異常が見られるという。O先生には珍しく慌てた様な口調で「赤血球(red blood cell count;RBC)もヘモグロビン(hemoglobin;Hb)も正常の半分位で貧血(anemia)だが、血小板数(platelet)も非常に少ない、白血球(white blood cell;WBC)も少ない。何よりも白血球で異常細胞(abnormal cell)が非常に多くて良くない状態です。紹介状(a letter of introduction)を書きますので、すぐに大きい病院で精密検査(workup)をして下さい。入院(hospitalization)も考えておいた方が良いです。」先生の話をメモしながら聞いていたが、異常細胞が非常に多いとのセリフを聞いた瞬間、急ぎ京都へ今日中に帰る決意をした。『先生は明言こそされなかったが、どうやら白血病になったらしい。先生は白血球が少ないと言われたが話の流れから恐らく“異常に多い”の言い間違いだろう、もし本当にそうなら、これは大変な事になった。。。』

 瞬時に色んな思いが頭の中をよぎったが、それどころではなかった。先生に今日中に帰る約束をして電話を切ると、恐らくしばらくは仕事が出来ない可能性がある為、出来る限りの残務整理をし、仕事もぎりぎりの時間まで、片付けられるだけ片付け、念の為に仕事用のパソコンをカバンに入れた。手のかかる急ぎの仕事が丁度一段落していたのがせめてもの救いだと思った。ボスには、昨日の血液検査の結果が良くなくひどい貧血である事などの連絡があり、大きな病院ですぐに精密検査を受ける様に言われた旨を伝え、取り敢えず今月一杯は仕事に来られない(休む)と話し了解を得た。

 夕刻、職場を出、神戸の住まいに立ち寄り、生ものの整理をした。しばらく入院という事態になった時の事を考えて、冷蔵庫の牛乳はその場で飲んでしまい、生卵は調理している時間もなかったので冷凍庫に放り込み、冷蔵庫にあるおかず等は無理やり冷凍庫に押し込んだ。管理人さんにしばらく留守にするかもしれないと伝え、万が一に備え、長期不在届けを提出してから、おなかタプタプ状態で電車に乗り、京都へ向かった。

 最寄りからタクシーを拾い、O先生の所に診療時間終了間際に滑り込んだ。先生は一般の血液検査報告書と「白血球分類検査結果がまだ正式に届いていないのですが、これがFaxで送ってもらったもの」という報告書の2枚を私に示して、「白血球数は79,800(標準が3,500~9,100)と非常に多く、そのうちの異常細胞が91%もある」と説明して下さった。体調が悪いとか極度の貧血とかでこういう数値が出てきたりしないかとか思いつく限りの仮定の質問したのだが、先生は「残念ながらこの数値からみるとあなたは白血病(leukemia;leukaemia)です。」と初めてはっきりと告げられてしまった。断言は出来ないが急性の白血病だろう、との事。

 早速紹介状を書いて下さったが、そのT病院のK先生は少々因縁があって受診するのがためらわれた。しかし症状は急を要するらしいので背に腹は替えられない。先ずははっきりとした病名を検査して調べて貰わなければならないと思った。しかし、あまりに貧血がひどくなってきたので何か薬を処方して貰えないかを聞くと、白血病なので、輸血(blood transfusion)をする事になるという。今日は無理なので、明日検査して貰う病院でして貰うしかなかった。母が病名を知ってショックを受けまた小さい脳梗塞(cerebral infarction)を起こしてしまうのではないかと恐れ、O先生に母にしばし病名を伏せておいてとお願いしてから待たせていたタクシーに乗って帰宅した。

 母には、少なくとも今月一杯は仕事を休む事、貧血で血球数等に異常があるので検査入院して詳しく調べてもらった方が良いとO先生から言われた事、明日紹介状を持ってT病院でもっと詳しく検査してもらう事、そこで輸血して貰えれば少しはこのひどい頻脈は改善されるだろう事等を伝えた。T病院と聞き母はちょっと顔をしかめたが、ひとまず無事に帰宅した私の顔を見て安堵した顔をした様だった。

 鼻をかむとなかなか血が止まらなくなってきた。夜遅くまで独りパソコンで白血病について検索してどんな病気なのか色々情報を集める。相変わらず少し動くとすぐに心臓がドクドク脈打つが、まだ自分の身に起こった事として捉えることが出来ず、他人事の様に感じてしまう。母は長寿(longevity)の家系なので、自分も寿命までまだ半分も生きていないと思っていたが、命が無いかもしれない。大変な病気になってしまった事だけは確かな様だ。【この日の手帳の最後には震える文字で『ぜんぜん実感がわきません!』と書いている。】

【血液検査結果】
WBC(白血球数)79,800 [/μl]高値、RBC(赤血球数) 2.27[/μl]低値、HGB(ヘモグロビン) 7.4 [g/dl]低値、PLT(血小板数)22,000 [/μl]低値、異常細胞91%、赤芽球(EBL) [1.0/100 WBC個]、
コメント:中型細胞でN/C比大、好塩基性が強く、核網繊細なものや核小体を持つものも見られます。
γ-GTP 212 [IU/l]高値、総コレステロール231(やや高め)、血清鉄(やや高め)、CRP定量 0.24(基準値内)

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