2008-10-18

2008/10/18 (土) 白血病(leukemia)の新しい治療法開発記事

 先日、長姉から、白血病(leukemia)の新しい治療法が開発されているらしい、とメールを貰った。参照ページを見ると、骨髄性白血病や骨髄異形成症候群(MDS:myelodysplastic syndrome、DMPS:dysmyelopoietic syndrome)での予後不良因子である「Evi-1(転写因子)」の活性を抑え、化学療法(chemotherapy)を併用すると、より生存率(survival rate)を延長させる事が出来る可能性があるというものであった。

 ところで、自分は急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia;ALL)である。入院当初「骨髄性の顔も少し持っている」と、にわか患者にとって理解不能な事を先生から言われたが、検査の結果、それは不良因子ではなかったと教えて貰えている。結局どっちなのかと聞くと「骨髄性の顔をちょっと持ったリンパ性(lymphocytic)であるが、リンパ性白血病と考えて下さい」とややこしい事を言われた覚えがある。そして、治療法は、リンパ性白血病の治療法が採られる事になった。その後、骨髄性(myelogenous)とリンパ性(lymphocytic)では治療法が異なる事、同じ白血病でも、成人の骨髄性とリンパ性との間で生存率に大きな差がある事、また、同じリンパ性白血病でも、子供が罹病した場合、成人よりもはるかに治癒率が高い事も知った。

 折角姉が、参考になると思って教えてくれた記事ではあるが、今の自分には関係ないなぁ~っと、ちょっと残念であった。しかし、自分も発病当初、自分の病気を知る為に、随分とあちこちにアクセスして調べた記憶がある。今回、骨髄異形成症候群という、聞きなれない病名が出てきたが、この病気は、治療の難しい貧血(anemia)で、白血病へ移行しやすく、骨髄造血細胞の異形成性がみられる疾患の総称だそうだ。この病気や骨髄性白血病の人が、偶然このブログを訪れた場合を考えて、この記事を紹介しておこうと思い直し、この文章を書く事にした。

  紹介して貰った記事は、「薬事日報」というページの『難治性白血病治療に光明-「Evi‐1」を標的に白血病幹細胞の増殖制御へ』という所にある。何かの参考になれば幸いである。

2008-10-17

2008/10/16 (木) 血液と骨髄液の違い

 血液(blood)と骨髄液(bone marrow aspirate)、これはどちらも赤い血の色をしているが、どう違うのだろうか?

 厳密的にどう違うのか、その定義は知らないが、感覚的に言うのなら、体中をめぐっているのが血液で、骨の中にある血が骨髄液と言えるかと思う。

 血液は、血液検査(blood test)でおなじみの赤血球(RBC:red blood cell)と白血球(WBC;white blood cell)、血小板(PLT:platelet)と、液状の血漿(blood plasma)で成り立っている。献血(blood donation)等で腕から採られる血液の事を末梢血(peripheral blood)という事もある。ちなみに、血漿はけがをした時に、血を凝固させて出血を止める役割をしている事で良く知られているが、タンパク質(protein)や脂質(lipid)、糖質(sugar)、各種ミネラル(mineral)で構成されていて、養分(nutriment)や老廃物(waste)の運搬役や、免疫機能(immunity;immunization)も持っている。

 一方で、骨髄液は骨の中にある部分と言おうか、鶏の骨等をポキンと割った時に、骨内部に見える赤い血の色をした部分を指し、そこで体中に流れている血液のもと(白血球・赤血球等)を作り出す「血液製造工場」になっている。つまり骨髄液には血液を作る能力のある、造血幹細胞(幹細胞(かんさいぼう:stem cell)というものが一杯あり、成熟した(完成した)血球が骨の内部から血管へ旅立って行く、というイメージが出来るのではないだろうか? 末梢血にもこの幹細胞は含まれているが、絶対的量が少ないのに対し、骨髄液中には大量に存在し、生まれたばかりの血球や、成熟してまさに体中に旅立とうとしている血球までが全部一緒になって存在していると考えられると思う。

 骨髄移植(bone marrow transplantation;BMT)やマルク(Mark:骨髄穿刺;bone marrow puncture)では、骨に針を突き刺し、その骨の内部にある骨髄液を採取して、移植、或いは検査をするという事になる。

 余談だが、入院当初、良く困惑した名前(医学用語)の一つに、骨髄液と脊髄液というのがある。どちらにも“髄液”という同じ言葉が入っている為、耳から説明や言葉を聞いていても、どちらがどっちだったかと、頭の中では混乱していたものだった。後者の脊髄液とは脳脊髄液(cerebrospinal fluid;CSF;liquor cerebrospinalis)とも呼び、ルンバール (Lumbar:腰椎穿刺)の時に採取される液の事である。この脳脊髄液は健康ならば無色透明の液体で、脳や背骨の中を通っている神経を、外部の衝撃から守る役目をしており、背骨や頭蓋骨の隙間に満たされている液と表現出来ると思う。ルンバールや脳脊髄液については『ルンバール(Lumbal)はどこに刺すのか』で詳しく書いたので、それを参照して頂きたい。

 ところで、昨夜、偶然NHK教育で『10minBOX』というものを見た。テーマは“理科2”の「血液の探求~血液の成り立ち」だった。

 このNHK教育の『10minBOX』というのは、中学・高校での学習に活用する為の番組らしい。たまに見ているが、どのテーマも、10分と短い時間の中で、簡潔にわかり易く解説されており、非常に良く出来ている。今回は血液がテーマと分かり、興味津々で見入った。

 入院して初めて、血小板という成分輸血を経験したのだが、輸血(blood transfusion)と言えば血の色、赤いとばかり思っていたのに、黄色(血漿の色)で少し驚いた記憶がある。落ち着いて考えれば、血小板も血漿も血液成分なのだから、輸血という表現は的確で全然不思議ではないのだが、“血は赤い”という先入観が錯覚を起こさせた。実際、採血した血をしばらく静置しておくと、赤血球等は下に、血漿成分(黄色く透明)は上に分離するのは知っていたので、成分献血の際は、比重の違い等を利用して、多分遠心分離で、血小板をより分けているのだろうと理解していた。

 番組では、献血の話から始まり、どうやって血液成分を分離採集しているかという、今迄あやふやだった自分の知識の所も、詳しく説明されており、更に、血球の誕生の様子や、血液を作るもとになる細胞、即ち幹細胞の説明、と続き、最後は白血病等の、血液の病気の話から骨髄バンクの話にまで触れて、終わっていた。

 文章で書く(説明する)と長くなってしまう内容も(それゆえ、難しく感じたり、読むのが嫌になってしまう内容も)、映像付きなので、非常に分かりやすい。見て正解だった。早速、再放送はいつあるのか、或いは次回放送内容は何かをネットで調べてみたら、「血液の探求」というテーマでこれから5回放送される事が分かった。自分は、偶然その血液シリーズの初回を見た様である。

 NHKのHPでは、『10minBOX』をビデオクリップという形で、パソコン画面で、テレビと全く同じ内容を再生して見る事が出来ると分かった。血液の事で何か知りたいとか、興味あるという人は、右の(→)「第11回 血液の探求~血液のなりたち」をクリックすれば、直接ビデオクリップへアクセス出来る。中学・高校の教材用と侮るなかれ、である。